米FDA、フレーバー付き電子たばこのコンビニなどでの販売禁止へ
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このニュースは全体像を理解しないとうまく理解できないと思います。
電子たばこの市販が禁じられる理由は、「健康に悪いから」ではありません。電子たばこは健康に良いわけではありませんが、従来のたばこよりも健康への負の影響が少ないことはいくつもの臨床試験の結果から示唆されてきたことです。むしろ、極論を言えば現在の喫煙者は全て電子たばこへ誘導すべきなのかもしれません。そして、そもそもその目的で市販されたわけです。しかし、結果として現実世界で生じたのは非喫煙者による利用です。タバコの臭いなどが嫌いで喫煙者でなかった若者がそのデザインやフレーバーを気に入り、新たな層のニコチン中毒を多数生み出してしまったのです。これが電子タバコを禁じたい理由です。
一方、FDAが一部のフレーバーを禁じられなかったのは、それらのフレーバーは従来のたばこでも手に入るからです。ここまで踏み込んでしまうと、ではそのフレーバーの従来のたばこは良いのか、そもそもたばこは市販していて良いのか、という議論になります。そうなると、たばこ自体の販売を禁止する大きな動きとなります。
たばこにないフレーバーであれば、それらのフレーバーに未知の健康障害のリスクがあるというちょうど良い理由づけで禁止することができます。
この「中途半端」な施策に各学会は反対を表明していますが、これが現時点での社会的政治的な落としどころで、全て市販しているよりはマシという判断だったのだと思います。電子タバコの話ではないですが、以前にもメンソールのタバコは禁止しようとして、オバマ政権に阻まれたということがあったかと思います。
メンソールやミントのタバコは若年者の喫煙の契機になるという報告があるための禁止検討でしたが。
カナダのオンタリオ州では2017年1月からメントールたばこの販売が禁止されたていますが、電話調査によると禁止前には14.5%しか禁煙を考えていなかったようですが、実際に禁止してみると29.5%の方が禁煙を試みたということも報告されています。
少数例の報告ですしアンケートのみなので厳密にどれくらいどうとは言えませんが、公衆衛生的にはメンソールも含めて制限・禁止することが、国民の健康に寄与するのではないかと考えられています。電子タバコはそれそのものよりも、そこから普通のタバコへの移行や違法薬物への入口として懸念されています。