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今回のゴーン氏の問題は、二つあり、一つは退職後の報酬について水面下で駆引きしていたことで、もう一つは、そもそも日産のガバナンスが機能不全で、ゴーン氏が報酬を決める結果となってしまったことであり、これは日産の問題です。
トップの報酬を、その責務が出来ない部外者が、これが適正ですと言えると考えていること自体が驚きです。
大体、労働基準法に守られている労働者と、株主との委任関係である取締役を比較すること自体が、日本の考え方で歪んでいるところだと思います。
本当の経営者は、寝てても働いていると言われています。
つまり、365日24時間仕事のことを考えているのです。
ただ難しいのは、従業員は会社に雇用されているのに対して、社長は大体の場合は株主に経営を委託されている。
従業員としては「現場で頑張っているのにどうしてこんなに差があるんだ」という感情が生まれるのは自然。一方で株主としては、給与の差以上に業績・株価があがればメリットがある。そこのロジックや感情が違う点にあるから、水と油の議論になりがち。
トップについては、アップサイドの報酬体系は結構あると思うのだが、ダウンサイドはまだ微妙なことが多いと思う。ダウンサイドの結果責任が大きい報酬設計だと、そもそもトップになるインセンティブが少ない。一方で経営責任は、マイナスの時にこそ重要。
従業員は全体の結果責任に寄与できる部分が小さい(だからアップサイドも限定)一方で、上手くいっていないときでもこんなにもらっているのかという状態が発生すると、感情含めて会社が悪くなりかねない。
この方は、ピカソの絵を、たとえば私が描いた絵とくらべて、私が1時間かかって描いた絵が100円(にもならないかも)だが、ピカソはこの絵を3時間かけて描いたから300円だ、とでもいうのだろうか。
ピカソがさらさら描いた絵は一生懸命私が描いた絵より価値が低いとでもいうのだろうか。
役員報酬は時間給ではない。
特に会社法は所有と経営の分離を原則としており、基本的には役員はいわば「経営のプロ」としてそこにいることになる。
たとえ3時間しか働かなくとも、知識や経験、その方にしかないセンスや人脈、カリスマ性等、その方がそこにいることの価値が総合的に評価されて決定されるのが役員報酬である。
役員報酬は最終的には会社(株主)と当該役員の合意で決まるが、その考慮要素には、その方の市場価値(こういう言い方をしては失礼かもしれないが)も入ってくる。
現在は、日本企業だからといって、事業面でも経営面でもドメスティックで留まることはできず、プロ経営者の争奪戦においても海外企業と同じ土壌で戦うことになる。
そんな中、このような考え方をしていては世界に遅れを取ることになる。
…と、ここまで熱く書き殴ってから気づいたのだが、この方は、極めて小規模な企業を念頭に置いて書いておられるのだろうか(大企業・中小企業を問わず、という表現が2回出てきていることからするとそうではなさそうだが)。
仮に中小企業のみを念頭に置いているとしてもやはり、このような考え方には違和感を覚える。
新入社員だって24時間仕事のことを考えている人もいるだろう。社長だからといって24時間働いている訳ではない人もいる。
「何事にも『ほどほど』があるように、世間の常識や頑張る社員から見た納得感から出された金額があると思えるからだ。」
社長の報酬は、世間の常識や頑張る社員が決めるのではない。
仮にこういった考え方が蔓延すれば、企業経営者の価値が目に見えるものでしか測られなくなり、経営者が適正に評価されなくなるのではないか。
それによって日本企業が息苦しくなり、魅力を失っていくのではないか。
こんな考え方の方がおられるとは。
読めば読むほどすごい記事だ。
会社は社会的価値を担っている以上はそれなりの大きな金額になりうるもので有る。一方、ビジネス浮き沈みが有るものなので業績達成度合いで大きく変動すべきで有る。最も大切なことは、社会の公器である以上は、社長自ら決められるものではなく、第三者(報酬委員会など)が予め決めた方式にて支払われるべきで、自身のお手盛りは排除すべきものである。
一方、株主が決めれば良いというのも、正論だと思うものの、順風満帆な時に高額な報酬を議題にあげても、株主総会で否決されるケースはぼぼないだろう。それで社員やステークホルダーの多くは納得するのだろうか。リストラして儲かっているからいいだろうという問題ではないでしょう。
普段の社長のリーダーシップや人望やオープンさは、恐らく社外の人にはその実態を知られることはあるまい。今話題のCEOもこうなって初めて実は…こうだったとさんざんだ。
社外取締役などから構成される指名報酬委員会などをいかに機能させるか? 第三者が見ているという建前ではない客観的な評価が望まれる。
役員報酬の多寡についてはこれまでも色々な議論がありましたが、ふと資産運用ビジネスの視点で次のようなことを考えてみました。
例えば、機関投資家である年金基金等から資産運用会社が投資運用を受託する場合、受託資金残高に対して●●bpsの運用報酬が設定され、当然ながら受託残高が大きければそれに比例する形で運用報酬「額」も増大していきます。
ただ、この場合にはその報酬「額」の絶対水準が問題視されることはあまりなく、議論や交渉の対象となるのは報酬「率」が中心であることが多いように思います(ex 残高が多くなれば「率」を低減するようなテーブルを設計する等)。
これは、委託者である年金基金側の利益(=より良い運用パフォーマンスと残高の増加)と受託者である運用会社側の利益(=受託残高の増加と報酬「額」の増加)の方向性が一致していることに加え、運用会社がより良いパフォーマンスを出すインセンティブを付与する仕組みという理解が広く共有されていることが大きいと理解しています。
これを株主からの委託を受けて株式時価総額の増加率と配当率の合計であるトータルパフォーマンスやもしくはその手前の会社利益の最大化を目指す取締役にあてて考えてみると、何故に同じ委託・受託関係にある機関同士の関係であるにも関わらず、CEOやその他取締役については「額」を批判視するような議論が起こるのか不思議です。
運用会社は会社組織である一方、取締役は個人であるため、批評者と同じ属性であるが故の嫉妬や羨望等のエモーショナルな要因によって判断基準の合理性がやや損なわれるなどの理由があるのでしょうか。
本来的には私企業の報酬は自由でしかるべきだと思います。