ソフトバンクグループのARM再編によるタックスプランニング徹底解剖
コメント
注目のコメント
本件については、日経新聞より取材を受けまして、今朝の朝刊でコメントを載せさせて頂きました。
heukocpaさんのnoteは非常に参考にさせて頂きました(笑)
現時点で推測している事実関係はほぼ仰る通りです。
(事実関係におそらく誤りがありましたので一部訂正しました)
16年9月、英アームHDを約3.3兆円で購入していたが、その後アームHDからアームLimited株式の現物配当を受け、その際にみなし配当を2.5兆円ほど認識していたと思われる。
グループ間でのみなし配当についてはほぼ全額を収益として認識する必要がなく、これによりSBGは保有するアームHDの株式を簿価3.3兆円のままで時価を著しく下落させることに成功したと思われる。2.5兆円相当のアームLimited株式を配当で受け取っているため、アームHDは簿価3.3兆円のままで、時価を3.3兆円-2.5兆円=0.8兆円相当まで下落させることが出来る。
この株式をソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)に現物出資。現物出資を行うと税務上は時価で売買をしたものとして認識されることから、譲渡損を多額に計上することに成功したと思われる。
また、4200億円の期ズレは下記の支払義務が完了していない5%部分の調整と思われる。
(有報 抜粋)
当期末においてソフトバンク・ビジョン・ファンドは同社持分の19.7%を保有しており、ソフトバンクグループ㈱によるArm Limited株式を活用した支払義務履行の完了時には、ソフトバンク・ビジョン・ファンドは同24.99%を保有する予定です。
また、本件については行為計算の否認規定の適用が検討されると思われるが、アームHDが海外子会社であるため同族会社の定義に当てはまらず、行為計算の否認規定が適用できないのではないかと推察する。すごい分析です。
このnoteと直近の報道から以下を理解しました。
・SGBがアームHDからアームLtd株式の現物配当を受け、会計上はアームHD株式を直接減額する処理とした一方で、税務上はみなし配当(ほぼ益金不算入)だったため、アームHD株式簿価に税会差異が生じた
・アームHD株式をSVFに移管する際に、会計上は簿価によりSVFに移管したが、税務上は譲渡損を計上したことにより、会計上は損益が生じず、税務上だけ損金が計上され、結果として欠損金が生じた
・欠損金は、2019年3月期において、子会社SBの上場で生じた税務上の売却益とぶつけて一部を消化することができた
いまいち、今回の国税が指摘する期ズレがどこから来ているのかは分からないのですが、シンプルに株式譲渡が一部完了していなかったということでしょうか。
タックスヘイブン対策税制のところはよくわからないのですが、少なくとも国税はここは指摘していない感じですよね。
個人的に1番気になるのは、繰越欠損金にかかる繰延税金資産を、結構な額で回収不能と判断しているようですが、これだけタックスプランニングしている会社が本当に回収不能と判断しているのでしょうか。残りもきっちり回収しそうな感じがしてしまいます。戸田さん・・さすがに無茶ぶりすぎます~!!
しかし、とんでもない猛者たちの隣に私の名前を並べていただけたことがあまりに嬉しく喜びPick ヾ(*´∀`*)ノ
それにしてもすごい記事ですね。
あれほど複雑なソフトバンクGのタックスプランニングを複数の開示資料から読み解き、ここまで詳細に纏めるとは・・
しかも2月の時点から税務否認の可能性を見つけ出していただなんて、この筆者は何者なんでしょうか!
会計・税務にご興味のおありのかたは、是非ご一読をオススメします。
しかし、力作すぎてかなり体力が必要です。
読むだけで疲れました(笑)