名著84 オルテガ「大衆の反逆」
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みんなと同じであることを苦痛に思わないどころか、快楽に感じ、もっぱら自分の利害や好み、欲望だけをめぐって思考・行動し、自分の行動になんら責任を負わず、権利のみを主張する。それが「大衆」。
それに対抗する形で、「自らに課せられた制約を積極的に引き受け、その中で存分に能力を発揮することを旨とするリベラリズム」や、「人間の不完全性を熟知し、個人の理性を超えた伝統や良識を座標軸にすえる保守思想」が処方箋というが、その両者は両立するのだろうか。
現在は大衆層自体の崩壊と共に、処方箋として広がってきた前者に対する反抗として後者が台頭してきているという、逆行した現象になっているように思います。人間を最も根本的に分類すれば 、次の二つのタイプに分けることができる 。
第一は 、自らに多くを求め 、進んで困難と義務を負わんとする人々であり 、
第二は 、自分に対してなんらの特別な要求を持たない人々 、生きるということが自分の既存の姿の瞬間的連続以外のなにものでもなく 、したがって自己完成への努力をしない人々 、つまり風のまにまに漂う浮標のような人々である 。
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大衆とは、良い意味でも悪い意味でも、自分自身に特殊な価値を認めようとはせず、自分は「すべての人」と同じであると感じ、そのことに苦痛を覚えるどころか、他の人々と同一であると感ずることに喜びを見出しているすべての人のことである
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以上が 、現代の恐るべき事実であり 、そのいつわりない残酷な実相なのである 。