安倍政権、2島決着案を検討 北方4島返還「非現実的」
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歯舞・色丹で決着するという話自体はおそらく以前からの既定路線だったのでしょうし、そのことは多くの人々から指摘されてはきました。
しかし、「日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速させる」ということは、「四島の帰属画定後に平和条約を結ぶ」とした1993年の東京宣言の部分をすっ飛ばすことを示唆しています。
してみると、記事中でいう「歯舞・色丹の引き渡し確約」を何で担保するのかがよく分からなくなります。
本当に2島が返還されるのであれば現実的アプローチと言えるのかもしれませんが、この点がどうにも不安です。「2島返還」といわずに「2島決着」「引き渡し」としか表現しないのがポイントですね。「引き渡し」なるものの内実が問題です。一番考えられるのは、ロシアの領土のままではあるが、日本政府の出先機関を置くことができて、日本企業が投資することを許可する、といった内容でしょう。
この「引き渡し」されるかもしれない、歯舞、色丹の2島は、ロシアによる行政や開発、軍の駐留があまり手をつけられていません。ロシア政府は赤字であっても択捉、国後の2島にはロシア人を定住させ、軍を駐留させています。より小さい2島については、日本側に金を出させる、というのが実質的な提案なのでしょう。ロシアと米国の関係が取りざたされる中、
安倍政権が2島決着案を検討し、日本とロシアの関係強化を図ろうとしている構図。
ここでは、むしろ描かれていない絵に注目すべき。
それは「中国」の存在だ。
日本とロシアの海域の緊張関係は、戦後ずっと北方四島にあるが、
こちらの領土問題がある程度解決したとし、仮に将来温暖化が進行し、北極海の氷が溶け、北極航路が使えるようになると、「中国抜き」の航路がアメリカ、ヨーロッパ、ロシアの間で完成する。現在の中国の「一帯一路」計画を大幅にパワーダウンさせる可能性が。
アメリカとロシアの関係、日本とロシアの関係、「中国」を入れて考えてみる必要が、あるように、見える。