EU、イランに制裁発動 欧州内での反体制派暗殺計画受け
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整理すると、イランに対する制裁は、
米国の場合:
・理由は、イラン政府による核開発(もっとも、イラン政府は核開発凍結についての合意は履行しています)、ミサイル開発、シリアやイラク、イエメンへの軍事的介入
・制裁の対象はイラン経済全体とイランの政府や企業と取引する世界中の企業
EUの場合:
・理由は、イランの情報機関によるヨーロッパ諸国での反体制派イラン人(西部のアラブ人地域独立派や現体制への対抗イスラーム組織ムジャーヒディーン・ハルク)への暗殺計画
・イランの情報機関やその関係者が持っている銀行口座などの凍結
です。理由も規模も全然違います。EU諸国は、イラン政府の核開発やミサイル開発、シリアやイラクへの軍事介入を理由に経済制裁を課す、ということはしていません。
EUは核合意を維持してイランとの通商を継続したい方針でしたが、米国の制裁によってもはや困難になっています。EU諸国の政府ももはやこれ以上リスクを冒してまでイランと通商を続ける仕組みをつくったりする試みを放棄しつつあり、その最中に出てきた話です。イラン政府の機関による暗殺や破壊活動、軍事的暗躍というのは40年近く続いている話ではありますが、それもあって、イランを国際秩序に取り込む、ということが困難になっています。アメリカのポンペオ国務長官は、EUがイランに課した措置を「テロは容認されないという明確なメッセージ」だと言って歓迎しているが、そんなに単純なことではない。そもそもイラン政府の〈暗殺計画〉の対象だとされているのはモジャーヘディーネ・ハルグ(PMOI)という集団で、イラン反体制派であると同時に、強硬な反米勢力でもある。その拠点が、ヨーロッパなのだ。イラン政府は、ヨーロッパがテロリストを匿っている方が問題だと反論している。そうであれば、ヨーロッパは反米強硬派を匿っているということにもなってしまう。実際、モジャーヘディーネ・ハルグ(PMOI)は、イラン国内で大統領と首相を同時に暗殺した過去を持つ。