【実験】アマゾンの音声AIは、家庭の「名医」になれるのか
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「医大でも研修でも、われわれは“はい”か“いいえ”の質問で患者を誘導してはならないと繰り返し教えられます。こうした訊き方は誤った方向に進みがちで、誤診を招くからです。望ましいのは『あなたが感じている痛みについて詳しく教えてください』といった、オープンエンド型の質問です」
ここがまさにAIが最初につまづくところでしょう。私たち医師のテクニックの中では基本中の基本で、このようなオープンエンド型の質問に対する答えから情報を回収し、それを医療用語に翻訳していく作業をします。そうすることで真実に近づける可能性がぐっと高くなるのです。
病気の診断に重要なのは患者さんの問診と身体診察で、これが診断の7-8割に寄与します。現代の皆様のイメージでは、検査が8割と思われるかもしれませんが、実は全く逆です。だからこそ、この「問診」の部分での間違いは許されないことが多く、この部分でのAIの利用は現時点ではより慎重になる必要があります。
しかし、将来的にAIがこの障壁を乗り越えれば、非常に大きな助けとなるかもしれません。そういったpotentialのある領域でもあります。アマゾンの音声AI「アレクサ」を搭載した端末が、ついに世界で1億台を突破したというニュースが流れました。そんなアレクサ向けに、病気になってしまった人の「診断アプリ」がたくさん生まれているのですが、それをQuartzが徹底検証した長文レポートです。読むのに10分くらいかかります。
日本よりずっと医療費が高いアメリカにおいて、手軽に診断をしてくれるサービスは、大きなポテンシャルをもっています。記事後半にある「声色」から、ユーザーの体調を推し量ってくれるといったサービスも、すでに特許なども出されており、これからリアルな世界に登場しそうです。
一方で、このレポートにもあるとおり玉石混交の「ヤブ医者アプリ」もたくさん出回っているのが実情です。それでもアレクサが誕生して6年、そのアプリの数は医療ヘルスケアだけで1000を超えており、近い未来にかならず「イノベーション」が起きるのは間違いなさそうです。
ちなみにアマゾンは、1.8兆円で買収したホールフーズで、ドラッグストアや医療品の販売もスタートさせています。アレクサが体調を理解して、頭痛薬を届けてくれる日も近いかもしれません。
*本日も原文(英語)ついてます!アマゾンのAlexaは名医になろうとしているのではなく、現段階では「ヘルス&フィットネス」カテゴリーでのアドバイスが目的です。この関連のスキルは915あるようですが、それをQuartzが徹底検証。その結果をレポートしたものです。
まともな回答が返ってきたスキルはほとんどない。インフルエンザにかかったかどうかを知る方法が最も正解が多かったが、それでも16件中7件だった。喉が痛む原因、手の火傷を治す方法、走ったあと膝が痛む理由は、16件中1件の正解しかない。
医者にAlexaスキルの精度について判定してもらったところ「個人的にはどの回答にも感心できません。これがシリコンバレーの実力ならば、われわれ医師がロボットに仕事を奪われるまでに、まだまだ長い時間がかかるでしょう」というコメント。
医療分野で音声アシスタントに頼り切るのは、まだ早い。現在は初期段階、これからの進化が楽しみです。