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来年10月の消費増税が立法的にほぼ覆せない理由
1)現行の消費税法では、来年10月に10%とすることになっている。延期に必要な法改正をするには、与党内手続きと閣議決定と両院での国会審議が必要で、それが3月末までに終えなければならない。しかも、消費増税を織り込んだ2019年度予算政府案と矛盾しないように手続きしなければならない。
2)内閣は、来年10月の消費増税を織り込んだ2019年度予算政府案を通常国会の審議にかける。国会審議途中で、予算案を撤回したことはない。内閣は、政権の威信をかけて予算案の年度内成立を図るから、3月末までは消費増税を織り込んだ2019年度予算政府案の成立に費やす。野党は、様々な理由をつけて、予算案の成立を引き延ばそうとする。その間、消費増税を延期する機会はない。
3)来年4月に入れば、消費税制の経過措置に基づき、10月1日以降に商品の授受が行われる契約は、新税率で契約を結ばなければならない。その上で、もし4月以降に10%への引上げを撤回しようと思っても、既に契約が新税率で結ばれているから、撤回されれば商取引が大混乱する。
https://news.yahoo.co.jp/byline/takerodoi/20181110-00103633/
消費増税を問うて衆参ダブル選挙ができるというのは、税制や予算編成手続きを知らない人の言うことだ。官邸周辺はそんなことを言ってはいない(他の理由で衆参ダブル選挙をするのは、話は別)。
あと、来年の選挙で自民党苦戦の観測とかになれば、消費増税見直しで解散総選挙に打って出るとの観測も依然としてくすぶっているようです。
私としては、どうせ実質増税にならないなら軽減税率のような筋の悪い話(いたずらに現場の作業を複雑にするだけ)はやめて、増税を中止すべきだと考えていますが。
今は話題にならないけれど、公的債務がGDPの90%を超えると経済成長率が1%低下するという、結構、有名になった研究がありました。公的債務の累増が経済成長率を落とすなら、経済成長が先、然る後に財政再建、は成り立ちません。勿論そればかりではないけれど、私は財政の健全化が必要だと考える側の一人です。でも・・・
そのむかし出版して頂いた本の結びに「財政健全化は重要ですが、我が国を停滞に追い込む抜本的な原因に目を瞑ったまま消費税率を引き上げても、日本の財政破綻をほんの少し先延ばしする延命効果しかありません。先延ばしされた分だけ危機感の共有が遅れ、問題が深刻さを増すのが関の山です」「国民と政府が国家の経営ビジョンを共有して日本の改革に本気で取り組み始めたその時が、消費税率の本当の引き上げ時です」と書きました。
財政健全化に及び腰で、増税対策を理由に大盤振る舞いをする最近の風潮を見ていると、今は増税せず将来の世代に増税余地を残すべきであるようにすら感じないでもありません。ただ、来年度の大型予算を既に決め、様々な景気対策が指呼の間に入った今、リーマンショック級の打撃を理由に再度延期をしたら、増税せぬまま支出だけが膨らんで、政府の借金は天井知らずに累積しそう。2025年まで延期したプライマリーバランスの黒字化も、いずれ何処かに吹き飛ぶでしょう。
経常収支の黒字と日銀が演出する極端な低金利に支えられて今は危険な兆候が現れず『日本が財政危機ではない』ように見えるけど、日本の財政と日銀のバランスシートがある種異常な状態にあるのは間違いないところでしょう、たぶん。長い人生、いろんな国と政府の混乱を見てきたけれど、一つだけ言えること。危機はじわじわやって来るものではありません。ある臨界点を超えた時、危機は突然やって来る。それが何時かは誰にも分かりません。極端な景気刺激に支えられた株価と景気が低迷することを理由にこのタイミングで再度増税を延期すれば、財政支出の拡張だけが残って、長期的な我が国のリスクを更に高めることだけは、間違いなさそうな気がします。(-“-)ウーン
加えて、軽減税率などの弥縫策も一切講ずるべきではない。税制はフェアでなければならない。フェアとはシンプルであるということ。