テスラの将来性、鍵となるのは車ではなくバッテリー
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Teslaは量産車のモデル3に先駆けて、2016年末に従来の18650から2170にセルの形状を変えて、家庭用のPowerWall2、系統・産業用のPowerPack2を直販しています。
本来車載用バッテリーとPowerWallなどの定置用バッテリーでは、要求される仕様が異なるとされ、車載用では出力密度(kW/kg)、定置用ではエネルギー密度(kWh/kg)がそれぞれ重視されていました。
これをテスラは高NiのNCAを使った液冷モジュールとして高容量を実現し、モデル3よりも先に定置用バッテリーとして試行上市ともいえる形でオーストラリアなどへ展開していきました。
こうした動きを見てもテスラはバッテリーのセル・モジュール・パックといったアーキテクチャを、自動車や家庭用蓄電池といった用途別に最適化する術を身に付けつつあると言えます。
またバッテリーのセルはパナソニック1社調達ですが、2170セルは韓国メーカーも作っており、ネバダ以外に中国や欧州にギガファクトリーも建設中で複数調達を可能にしつつあります。
つまりテスラのサプライチェーン上の位置取りとしては、上流の資源・素材は手を着けずに複数のセルメーカーから低コストで調達し、自動車や定置用向けに最適パックし、自社ブランドのEVや電力会社などへB2B直販する流れの真ん中に位置しています。
そして上流とはバッテリー製造を水平分業すると共に、下流の最終顧客へ訴求するブランドやチャネルは、用途別に自社でコントロール出来るように垂直統合をしていると言えます。
恐らく他の用途であるドローンや船舶、宇宙船といったモビリティにはあまねく進出する意向があると思いますが、パソコンやスマホなどの民生用といったパッキングの付加価値よりもセル自体の性能がモノをいう用途へは進出しないと思われます。
民生用メーカーとしてセルの性能向上を真剣に目指しているのはダイソンで、リチウムポリマーの全固体電池のSakti3へ出資したことからも明らかでしょう。
なので本記事に若干補足すると、テスラはバッテリーの性能を最大限発揮出来るアーキテクチャをモジュール化していくところに注力し、バッテリーのセル製造や研究開発は他社に任せ必要に応じて提携・買収していくつもりなのでしょう。EVの将来性を握るのはバッテリー技術であるということには誰も疑いはないが、ことテスラに関しては、確かに他社にないバッテリーの扱い方をしてはいるが、バッテリーそのものの技術というより広い意味でのマネジメントとマーケティングこそが競争力の源泉であって、あの程度の車を2000万円近い価格で相当の台数を売っていることに凄さがある。
もしテスラのことをほとんどバッテリーメーカーでしかないなどというのならば、パナソニックにだって相当売れるEVを作れるはずだが、そんなことは到底むりだ。
Matsunagaさんご指摘のイメージは私も共有するところだが、私が想像するのは、テスラは安全性基準が厳しい車載として生産実績のない2170セルを、家庭用や調整電源用にいわばテスト生産するかの如く生産し、かつそれを販売しているというぶっ飛んだ戦略。
割り切った液冷システムも、温度マネジメントにより高い寿命性能を発揮していて、見事としか言いようがない。
ただ、本当にコスパがよい車かどうか、良い企業かどうかは別として。モジュール工程のノウハウについては差別化出来ると踏んでるのかしら。確か一時期特許を他社にも使えるようにしたりもしていたけど…
ディスプレイやカメラはモジュール工程が陳腐化してしまって付加価値を失い高利益を得るのは難しくなってしまった。テスラの考える電池を多数並べる方式を採用してテスラを脅かす存在というのは現れないのかしら。