がんゲノム検査システム、初承認 厚労省、保険適用で費用負担減へ
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ゲノム医療と言うと高度な音の響きで聞こえはいいのですが、現時点では限界の方が多く語られるべき領域で、あくまで試験運用という状況だと思います。
ごく一部の腫瘍では遺伝子変異に合わせた治療薬がすでに汎用されていますが、多くの場合、遺伝子変異を同定しても、それに対する治療薬の開発ないし臨床試験による評価は行われておらず、対応する治療薬はないという状況になります。私の専門の1つ、血液の腫瘍領域でも、原因となる遺伝子変異は無数に知られていますが、それに対応する薬剤はほとんどありません。
それ故に、現時点でがんゲノム検査が我々にもたらしてくれることは、より正確な予後予測を可能にしてくれる、というのが大部分を占めます。
あなたのがんがもつ遺伝子変異は、悪い予後、寿命が短いことと関連していることが知られています。しかし残念ながら、この遺伝子変異に対する良い治療薬はありません。こんな状況を生み出すということです。
患者さんの立場としては、現段階では残念ながら大方こんなものだと捉えていただくほかない状況です。治療薬の開発が進めば、そしてそれを医療経済が許すのなら、やがては個別化医療としてこのようなゲノム検査が治療に直結する時代が来るのかと思いますが、まだ少し先になるでしょう。がんゲノム医療の詳しい流れは国立がん研究センター中央病院のページにあります。
https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/information/20180403/index.html
ただ現状では、この検査をやって原因がわかり、治療に結びつくことができるのは1割くらいです。これは諸外国でも似たような数字なので、日本が特別成績が悪いわけではありません。
将来的には、患者の遺伝子データと患者の治療内容を結びつけて創薬につながる可能性もありますが、本当に小さな一歩、といったところです。