役員報酬、「決め方」の開示義務付け 金融庁方針
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役員報酬の決め方を示すという方向性自体は結構なのですが、事細かく個々人の報酬を開示する意味が果たしてどれだけあるのかについては疑問に感じます。役員全体の総枠の寡多について、株主の合意が取れてさえいれば、それで済む話ではないでしょうか。
内訳まで事細かく求めて介入する必要があるのか。なんだか、国民全体が総じてマイクロマネジメントの小姑と化しつつあるようにも感じます。
加えて、業績連動というのは一見するとフェアな運用にも思えますが、それを絶対視するのは、経営者の動機に対する現場感の欠けた、かなり浅はかな理解だと感じます。
特に成長途上にある企業の場合、PLに即した報酬額を設定してしまうと、大きな投資を避け、現状のこじんまりとしたサイズに最適化する方向に動機づけされかねません。果たしてそれが、株主にとって本当に良いことなのでしょうか?制度として「PL脳」を経営チームに植え付けているように感じます。
同様に、初期のスタートアップで、定性的な個人目標と報酬を連動させることも、危険な判断だと感じます。事業の前提条件が変わっているにも関わらず、年初に立ててもはや的外れとなった計画に、個人のインセンティブが引きづられることになるからです。
実際株主として、スタートアップの経営者が業績にガチガチに連動したやけに真面目な役員報酬案を提示してきた際、強く反対したこともあります。この度のゴーン事件によって、巷でも役員報酬の在り方が話題となっていますが、金融庁ではかねてから欧米との開示レベルの差を問題としており、開示事項の改正について何度も議論が行われていました。(金融庁のHPでも開示されています)
なので、個人的には来るべくして来たな、と。
現状の日本と米国の開示状況ってこんなに違うんですよね。
そりゃあ、グローバルの視点において、日本の役員報酬の開示は不透明だと言われるのも仕方がないように思います。
◎ 日本(有価証券報告書)
「コーポレート・ガバナンスの状況」に記載すべき事項
・役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針を定めている場合 → 当該方針の内容及び決定方法を記載
・当該方針を定めていない場合には、その旨を記載
◎ 米国(Form 10-K)
Compensation Discussion and Analysis(報酬に関する議論と分析))に記載すべき事項
・報酬プログラムの目的、設計思想
・報酬の構成要素の内容
・各構成要素の算定方法
・各構成要素が、報酬プログラムの全般的な目的とどのように適合するか他の構成要素にどのような影響を及ぼすか
・直近の株主の勧告的決議をどのように考慮したか
(記載の例示事項)
・即時支払と長期報酬の配分方針
・金銭報酬と非金銭報酬、異なる非金銭報酬間の配分方針
・異なる長期報酬間の配分基準
・エクイティ報酬付与時期の決定方法
・報酬方針の設定・報酬決定の際に考慮される具体的な業績の項目
・具体的な業績と個人業績を報酬に反映するための報酬の構成と運用方法
・報酬の調整・返還に関する方針【他人のサイフばかり気にするのが日本人】
言っていることは分からないでもないが、株主以外に成績表を見せることに、何の意味があるのか分からない。創業経営者としての功労も含め、まだまだ生煮えの尺では、逆にパージに会うのでは。
この尺はサラリーマン社会主義に侵された「運動会の徒競走は全員でゴール」と対して変わらない。
引用
報酬額に対しては海外の投資家を中心に、多いか少ないかよりも決め方に関心が集まっている。仕組みの開示は報酬が成果に見合ったものかを判断する材料になると金融庁は見ている。