コンテンツに第3の革命 ネットフリックスCEO
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日経有料会員限定の記事だが、とても示唆深いのでピック。既に多くの方がピックしているのが記事内の以下のパート。
「ただ、データが万能かというとそうではない。例えばエンターテインメントの世界は、はやりを事前に見つけるのが最大の課題だ。データは世界中のユーザーの過去の視聴の共通性を教えてくれるが、新たなコンテンツとして何が評価されるかを考える際にはそれほど参考にならない」
人間の「嗜好」のトレンド予測はあまりに不確実性が高く、いくらデータがあってもハードルは非常に高い。ファッションのトレンド予測を例に出すまでもなく、人が将来どのようなものに関心を持つのか、人気のトレンドはどのように変化するのか、予測するのもバカらしくなるほどだ。僕もネット業界に長く身を置き、絶えずユーザーやマーケットをウォッチしている人間だと思うが、それでもTikTokがなぜいま流行っているかなんて、いまも説明できないのに、TikTokの人気の予測なんてできっこない。ゲームも同じようなものだろう。モンストは2013年の発売開始だが、いまも人気を誇っているのは、ユーザーの嗜好が固定化しているからではなく、コンテンツ開発側が絶えずユーザーの心を離さない工夫と努力を発売継続しているからだろう。予測というのは、データ分析の大きな仕事の一つで、車や消費財などの領域において需要予測は、生産管理や調達には極めてクリティカルなものではあるが、低関与の消費財の需要予測はそもそもとても難易度が高い。ましてや、ネットコンテンツの需要予測など(以下略)。
しかし、Netflixの凄さはこうしたデータ活用などほんの一面でしかなく、本質的には、根本的なビジネスモデルの転換をこの短期間で成し遂げ、いまの業界をリードしていることのほうが大きい。NetflixがもともとDVDレンタルビジネスから始まったことを、いまどれだけの人が覚えているだろう。数多あったDVDレンタル業者がほぼ残らず消え去ったなか、Netflixだけがビジネスモデルを動画ストリーミングのサブスクリプションモデルに大幅に転換して生き残ったばかりか、いまも成長を続けているのは驚愕というほかない。
注目のコメント
顧客が何のコンテンツをどこまで見たかまでわかるのでデータからかなり細かく消費者の嗜好がわかる(2000パターン!)一方で、新しいコンテンツを生み出すときにはデータは万能ではないとのこと。
つまりデータは効率化には非常に使えるけれど、イノベーションのときはそれだけでは不十分ということ。
ちょうど今週NPでCCC特集をやっていますが対照になっておもしろいです。
例えばTカードで揉めていますが、CCCもコンビニをはじめとする他の小売も、今の業態から進化すべき局面にきて悩んでいるのに、データ活用の話は効率化の域から出ていないように見えて、ここのスタンスの変換がとても難しいのだと思いました。
また、コンテンツはやはり非常にハイコンテクスト。「深夜食堂を見て日本のことをだいぶ学んだ」というのが大変示唆深いです。Netflixは最近かなりローカルコンテンツに力を入れてきている。日本を始めとした、ローカルテレビ局は相当苦しくなってくるのは間違いない
直近にどの作品をどこまで見たかといったユーザーデータの分析も可能になった。我々はユーザーの嗜好を2000にまで細分化して整理している。世界中から集めた大量のコンテンツから、個々のユーザーに適した動画を『推薦』として表示している
ただ、データが万能かというとそうではない。例えばエンターテインメントの世界は、はやりを事前に見つけるのが最大の課題だ。データは世界中のユーザーの過去の視聴の共通性を教えてくれるが、新たなコンテンツとして何が評価されるかを考える際にはそれほど参考にならないワクワクする記事だな〜。今のビジネスが上手くいくことを当初から確信していたとはシビレル!あと以下の言葉は特に好きですね。うちは製造業ですけど(笑)同じ考えで共感します。
「もし効率性を大事にするならば、製造業のように社内に多くのルールと手順が必要だ。柔軟性と改革を大事にするのならば、社員には自由と責任を与えるのがよい。だからこそネットフリックスは20年の間ずっと変わり続けることができた」