【独占】CCC×カメラのキタムラ。「あの買収」の裏側を語ろう
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今年5月、CCCがカメラのキタムラを買収したと知り、驚きました。
出版社の買収であれば、書店を運営しているCCCとのシナジーは想像できます。しかし、中古カメラに強いキタムラと一緒になってどんなメリットがあるのか。どれだけ考えてもわかりませんでした。
今回はその真相を探るべく、キタムラの北村会長にインタビューをしました。取材で驚いたのは会長に「戦略がなかった」こと。真相解明の目的は果たせませんでしたが、多くの小売企業にとって、CCCがどんな会社なのかが浮かび上がってきました。
ちなみに、CCCに買収の目的を聞いたところ、「キタムラの高いネット販売力をいかして、リアルと融合させていく」とのこと。ビジネスセンスのない私には、いまいちその未来図がうまく描けませんでした。色々な意味で凄いインタビュー。CCCのこと、増田さんとのこと、両社のシナジーについて「わからない」をひたすら繰り返してます。それでも増田さんしかないと直感し、そんな関係でも買収を一日で判断する。上場企業ではできない決断ですね。
別の意味で有益だったのはTSUTAYAのFCee事業の数字。売上が50億で利益は1%。それでも良い方とのことで、想定通りかなり厳しい状況ですね北村会長の元で働いていた時期があります。
私が働いていた当時は、iPhone初代が発売されてから間もなかった頃です。
あの小さな電話機器に時代を圧倒的に画すまでの新市場創造性と旧市場壊滅性が宿されているとは、世界の99%の人が夢想だにしていなかった時代です。
当時のことで、今でも鮮明に覚えていることがあります。
それは、北村会長が「アイフォーンというものが、今、世の中で流行っているそうだ。私は、ここに新しい事業機会があると直感的に思う」と、本社の全社員へのiPhone購入を決断。使って新しい事業アイデアを出してみるように奨励したのです。
驚くべきは、ご自身はキーボードをうまく打つことが出来ないため、電子メールを発信する場合は内容を紙にペンで書き、秘書に代打してもらっている、というIT機器利用レベルであられたんです。
北村会長の時代を変わり目を捉える嗅覚は、素晴らしいものがありました。
その後、iPhone、スマートフォンのアプリなどでの事業でヒットを出すことは難しかったですが、中古・修理という事業を掘り出し、店舗事業の柱の一つにすることに成功するのです。
その成功は、シンガポールに住んでいた際に、目にしましたが、驚くと同時にどこか「北村会長だから」と納得させられる気持ちがあったことを覚えています。
類まれな事業センスを持った経営者であった北村会長ゆえ、分からないことは分からないとはっきり口に出来、分かることは聞き手が分かるようにはっきり伝えることができる。
「私はもう考える力が尽きていますから、ここはもういっそ増田さんにお願いをしてみようと。」と自らの限界をはっきりと述べられていることが、その能力を端的に表していると思います。
北村さん、背筋がまっすぐに通った決断をまた最後に拝見させていただきました。
本当に、お疲れさまでした。