国立大学がベンチャー企業のR&Dを促進させる 落合陽一が構築したスキームはイノベーティブだ!
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注目のコメント
「新株予約権を付与する代わりに、大学の知的財産権を包括的に譲り受ける」
さらっとすごいことを!自分は真似できないと思う。
いくつか、関係者じゃないとわからないと思われることを解説。初めて文字数制限で怒られた。
◆「ベンチャー企業が大学の知的財産権を利用するたびに発生していたリーガルコストを削減できる」
大学によって異なると思いますが、大学で発生した知財は1件1件誰が何にどれくらいの規模で利用するのかヒアリングをし、ライセンス料を査定することも。一特許いくら、ではない。
また、最近の大学は特許の売り切りはやらず、ライセンス契約が多い傾向も。ココらへんがベンチャーにとっては「特許を自ら保有するわけではない」というリスクになります。ただ、多くの場合は独占利用権を付与できるので、形式にこだわらなければ実質同じにできます。
◆「自分が大学教員を辞めればいい」
いまも大学教員やん?と思われた方もいるかも知れません。大学によって特任教員、特命教員など名前は異なりますが、その場合文科省からのお金ではなく、企業など外部のお金でその先生を雇用するというスキームです。なので、大学や文科省から給料をもらっていないことになります。特命係長・只野仁みたいに、何か秘密の任務を受けているわけではありません。
◆「新株予約権を筑波大学に付与する」
これはこれまでもライセンス料の支払い方法としてOKだったはずですが、大学によってポリシーが異なるのかも。MITのメディア・ラボのように、一定の金額を払っている限りは当該組織の特許使い放題としているところもあります。
◆なぜ大学の特許が特殊なのか?
落合先生のように自分の知財で自分の会社を経営している人は別として、一般的には大学は特許不実施。その特許で大学がビジネスをするわけではない。ライセンスとして他者に供与するだけ。自分のところの特許を、他社の特許を使わせてもらうバーターにするなどということができず、知財管理コストはそのままどこかでうめ合わせしないと完全な赤字。
◆このスキームは全大学で可能なのか?
多分、落合先生だから可能だった感は否めない。事例が一つできたことで、今後同じスキームは取りやすくなるのかも。ただ、最近の大学は紋切型の契約だけでなく、相談すればかなり柔軟に様々なオプションを許容してくれます。まずは相談してみると良いと思います。【たくさんのPick、コメントありがとうございます!】
取材と記事の執筆を担当した者です。
筑波大学と落合さんが経営するピクシーダストテクノロジー株式会社が締結した日本初のスキームに関する記事です。
「この件で取材を受けたのは初めて」と落合さんが語るようにメディアではほとんど取り上げられていません。しかし、このスキームのインパクトや締結に至るまでの経緯、そして落合さんがスキームに込めた思いなどもっと世の中に知られてもいいのではと思います。
落合さんの新しい一面を知っていただける良い機会になるのではないでしょうか。
追伸1
山崎先生、文字数制限に怒られるくらい!?詳しい解説ありがとうございます。
理解を深めるのに大変参考になりました。
一番最後にあった「どこの大学でもできるのか?」という内容ですが、これは難しい大学もあるようです。
落合さんいわく、筑波大学は山海先生に上場までさせるくらい寛容で環境面も大きかったようです。
また具体的な大学名は控えさせていただきますが、そもそも企業の社長と国立大学の教員を兼ねることが慣習的にできないところもあるようです。
追伸2
母校・筑波大学に対して一言。
このスキームを締結できたのは筑波大学のスタンスも大きかったと思います。
ただこのスキームについて、プレス一つ出していないことが残念。
日経が行った「企業の人事担当者から見た大学のイメージ調査」で一位になって喜んでプレス出すくらいなら、このスキームについても世に発表してもいいのではと思います。なんといっても日本初のスキームです。
落合さんのようなイノベーティブな発想を持って変わらなければ、筑波大学は「未来を想像する」どころではないと思いますが…