アップルが「機械学習」に注力するたった1つの理由
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新しいiPhoneのSoC(system on chip)「A12 Bionic」は、トランジスタが従来比60%増の69億個。CPU(6コア)の速度向上はほどほどにして、GPU(4コア)を50%強化。
A11の世代から搭載しているマシンラーニングの推論演算に特化した「Neural Engine」は、従来の6000億回/秒の演算能力処から5兆回/秒と12倍に。これによって、例のいい感じの「ボケ(Bokeh)」を生む画像処理や、リアルタイムでバスケの動画解析する「Homecourt」などが実現。
少し前までは負荷のかかる処理は「クラウドで」という発想が一般的だったが、処理するものが大きくなると逆に通信速度がボドルネックに。再びスタンドアロンを重視する「エッジコンピューティング」の重要性が増してきていると言うことかもしれない。GPU性能の向上によって、今までは通信してサーバサイドで処理してもらってレスポンスを待つ必要があった画像処理・音声処理など比較的重たい処理がデバイス上でできるようになりつつある。往復の通信が節約されるので、処理速度は劇的に改善する。
AndroidだとこのGPU性能がまちまちなので、アプリケーションのデベロッパーは無闇にGPU性能に頼ることはできないが、iOSのデベロッパーは一律に高いGPU性能を前提とした開発が可能になる。
デベロッパー側は一通りの買い替えを待つ必要はあるので即効性はないものの、将来的にアプリで実現できることに大きく差がつく構図になる。iOSでしかプレイできない素晴らしいグラフィックのゲームや写真の加工アプリ、xRサービスなんかが登場してくることが予想できる。
アップルの戦略は一貫していて、クリエイターを満足させるハイエンドな環境を用意して、そのクリエイティビティを後押しすること。結果的にアプリケーションレイヤーでAndroid勢との差を作ろうとしているし、この戦略はある程度はうまくいくだろうと思われる。「「“これ”があるから誰もがiPhoneを買う」という、決定的でわかりやすいアプリは数少ない」
ソフトが開発できればOSの違いによる差はあまり意識する必要がありません。
それよりも
「一社が均質で高性能な製品を大量に市場投入する」
のほうがアップルの強みで、アップルも資本投入しやすいし、アプリ開発業者もテストやデバッグがやりやすい。例えば、カメラ一つとってみても「センサはこれ」というのがわかるだけで画像処理はとてもやりやすいものになります。