【全文掲載】全米騒然。トランプの身内が告発した「異常事態」
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この告発は、米国で話題になっていますが、内容は、トランプ大統領の激高しやすい性格や「中学生並の理解力の低さ」をあげつらうことに終始しているように見えます。トランプ大統領の何らかの政策や信条はそれほど問題にしていません。トランプ大統領の政策というのは、従来から非主流派であってもそれなりに支持者のいた政策が多いです。時を同じくして出されたウォーターゲート事件で知られたジャーナリスト、ボブ・ウッドワード氏のトランプ政権の内幕についての本も類似の内容と思われます。
もちろん、大統領の性格や理解力の低さのせいでとんでもない決定がされてしまうことはありえるので、潜在的には問題でありえます。ただ、こういう大統領が選ばれてしまうのは、制度に原因があることです。米国の共和制は、他の欧米諸国にさきがけて18世紀に確立されましたが、基本的には古代ローマをモデルとして、再興したものです。ローマでもそうでしたが、誰でも首長になれる制度ではありますが、むしろ全ての有権者からできる限り優れた指導者を選ぶためのシステムといえます。このシステムが機能するためには、一定のエリート層が必要で、かつ上に立つ者の教養や倫理が共有されている必要があります。問題は、そういうエリート層が支持を失い、教養や倫理を共有していない人物が選ばれるようになってしまったことにあります。これは古くから共和制に起こりがちな弱点です。
トランプ大統領個人の人格をあげつらうよりも、制度に起きている問題を調査し、解決を模索することが必要なのですが、これまで成功してきた制度を否定することは、エリート層の否定にもつながりかねないため、エリート層にはそのような模索ができないでいます。NewsPicksも最近のトランプへの報道は米国の大多数のメディアと同じ論調を載せることが多くなっているが、きちんとFOXなど親トランプの報道も載せてほしい。個人的には反トランプではあるが親トランプが何を評価しているのかは米国の動向を読み解く上では不可欠。反トランプだからこそトランプの何が受けているのかをフォローすることが重要だと思っている。分断された米国では半分がトランプを支持していることは見逃せない事実だ。だから僕はよくFOXを見ている。
９月5日にニューヨーク・タイムズが掲載した、トランプ政権の高官による異例の匿名寄稿の全文翻訳。
トランプを痛烈に批判し、政権の内実を率直に語っていること、さらにはウォーターゲート事件を暴いたワシントン・ポスト紙のボブ・ウッドワード記者が書いたトランプ政権の暴露本の内容が報じられた翌日に合わせるかのようにこの寄稿が掲載されたことで、アメリカ中で話題になっています。
「よくぞ勇気を出して真実を書いてくれた」という意見もあれば、「トランプに仕えながら匿名でホワイトハウスの主を批判するのは卑怯千万」という見方もあります。
いずれにしても、政権内部からこのような寄稿が出てくること自体、アメリカの中枢が異常事態に陥っていることを物語っています。
