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現行の日銀の政策運営が過度な緩和へ傾斜しており、これがシステミックリスクを増大させているという論点は実務の場では議論が尽くされている話です。それを「副作用など無い」と言い切る向きが絶えないのは、これまでの情報発信にやや不味さがあったからなのかもしれません(狂信的にリフレ政策を信仰している向きは別として)。

何度かコメントさせて頂いている通り、本件に関して最も重要なことは、次の不況が訪れた時に「中銀が空手(からて)のまま」というリスクをどれほど真摯に捉え、本気で心配するのかという論点でしょう。経済・金融情勢が盤石に見えるFRBはまだしも、ECBまでもが正常化プロセスに着手しているのは「景気拡大局面が歴史的長期に及んでいる以上、そろそろカードを溜めたい」という気持ちがあるのではないかと推測されます。いわゆる「糊代論に基づく政策正常化」です。決して感心できない理屈ですが、筋が通っていなくもない、とも思います。事実、日銀がこのまま「次の不況(円高)局面」に突入した場合、切れるカードは他中銀に比べて極めて限定的であり、相当危ないカード(ヘリマネ、外債購入等)しか残されていないという話になりそうです。だからこそ、今回動いたことは将来を見据えたリスクマネジメントとしては適切であったと考えたい所です。

なんといってもこのような日銀の決断は記事のタイトルにもあるように「世界的に金利が上昇圧力に晒されている」という環境がなければ絶対に出来ないものです。FRBが利上げを止めるタイミングで日銀が金利の高め誘導をできるでしょうか?絶対無いとは言えませんが、現実的とは思えません。FRBの利上げが遅くともあと1年後には終点(中立金利)に到達しているかもしれないと言われている中、ようやく今回日銀が動いたこと自体は前向きに評価すべきと考えます。現に、円相場がさほど上昇する展開にはなっていません。それはフォワードガイダンスの効果もありましょうが、やはり米金利が高水準で走っているという海外環境が大きいのは言うまでもないことかと思います。

「今しかできないことを今やった」という理解で良いと考えます。
しかし、日本の物価は上がっていない。
金利以外の問題と思う。
企業にお金は余っている、
しかしそのお金は、自社株買いに向かっている
金持ち以外にお金を循環させないといけない。
アメリカはインフレを抑えるための金利引き上げ、新興国は自国通貨が売られドルに逃げられる現状に対して金利引き上げで抵抗するためにそれぞれ金利上昇圧力が掛かっています。

翻って我が祖国は、まだデフレを脱却していない中で、金融機関のことを慮って金利上昇を容認。全然世界とは異なります。
他国の金利上昇要因を日銀の政策に求める記事。市場の動きを明確な因果関係で説明することは難しいですが、米金利上昇は米国固有の問題(米財務省による国債発行計画が1日に公表されました)もあると思います(①)。
唐鎌さんもコメントされているように、日銀の動きは、世界的な金利上昇にあわせたものなので、因果は逆、という面もあると思います。

①米財務省のバラ色シナリオ、終了は時間の問題-大量供給で金利上昇へ
https://newspicks.com/news/3221687
先般の日銀の政策変更によって今後の相場見通しに対して不透明感が高まったと捉える向きが増え、それなりの調整局面となれば、それはそれで買い場の好機に巡り合えるかもしれないくらいに考えておくのも一つの見方だと思います。
長期金利は市場が決めるもので日銀が操作できるものではない、と自身のホームページにすら書いていた日本銀行が、敢えて長期金利をゼロ―パーセント近傍(プラスマイナス0.1%程度)に抑えると宣言して金融緩和の長期継続をアピールしたのは2016年9月のことでした。その後、長期金利は許容範囲と目されたゼロパーセント台のプラス側で推移して、年額80兆円という国債購入量の宣言を据え置いたまま、「ステルス・テーパリング(国債購入量の減額)」が進んでいきました。あの時の変更が、量的緩和の限界を感じた日銀の方向転換だと感じた向きは結構多かったはず。今回も表面的には追加緩和措置と言いながら、実際には長期金利の上昇許容を通じた正常化の起点と感じている向きも多いんじゃないのかな・・・
局所的には「世界の金利に上昇圧力 日銀政策変更が契機」と見えるにしても、実際には、欧米の出口政策を受けた世界の金利の上昇圧力を契機に、日銀もステルス的な金利上昇を許容して正常化の2度目の起点をこっそり作った、と見る方が当たっているような気がしないでもないですが、どうなんでしょう (・・?
このシナリオで、ポジション取った海外勢、結構いた様子。さて、勝てるかどうか。
今後の日銀金融市場局のオペ等の舵取り次第だと思いますが、急激な金利上昇を容認してしまいますと、それこそ自らデフレ脱却の道を遠退かせかねないでしょう。
各国の長期金利の水準と1か月間での上昇の様子が分かりやすい図。