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野﨑先生コメントありがとうございます!公取はその判断構造上過去のデータに引きずられ過ぎており、ご指摘の未来の持続可能性を見据えた政策判断の主体としては向いていないのではないかというのが私の仮説です。後編ではその辺についてもう少し踏み込んで論じています。
<追記>
地銀の統合と企業結合規制のあり方について論考を寄稿しました。こちらは前編です。
先日ふくおかFG・十八銀の統合承認へ最終調整中と報じられました(※)。本件に関しては、金融庁が(暗に公取を批判する)異例のペーパーを発表しましたし、NP内でも公取の対応に批判的なものが多いようでした。もっとも、公取は公取で現行法制度下での自分の仕事をきっちり進めているだけのようにも思え、何となく議論がかみ合っていない感じを受けておりました。
そこで、もっと俯瞰した視点から判断枠組み自体を見直す必要があろうと思い、同僚の井上弁護士と一緒に筆を取りました。
かなり専門的な内容ですが、ご興味があられる向きは是非ご笑覧ください。
※https://newspicks.com/news/3212110
※なお、脱稿時点では「ふくおかFG・十八銀の統合承認へ最終調整中」という報道はなかったので、ふくおかFG・十八銀に関する記載はややアウトオブデートですが論考の大枠自体に影響はないと思っています。現在進行形の事件を扱った論考は難しいですね・・・。
主要論点は、①「地域市場」に関しての定義、②金融システムの安定、③統合に向けての問題解消措置の3点ですが、文中で指摘されている通り、②については独禁法の法の趣旨から外れること、それから③についてはそもそも①についての問題が解消されれば大きな阻害要因にはならないことですので、ここでは①に焦点を当てます。
市場の地理的範囲に関しては、論稿で指摘されている通り、銀行法改正による出店実質自由化の措置を公取委は斟酌していないばかりか、都道府県単位でなく市町村にまで下りて審査している点が最も大きな問題だと考えます。
また、隣接市場やネットを通じた取引が市場の概念を大きく変えざるを得ないことも認識すべきでしょう。
地銀合併は、地域金融の持続可能性を維持するための必要条件でしかなく、十分条件を充足するには、経営的なマインドセットの転換という高いハードルがありますが、少なくとも必要条件を充足できる行政的な環境づくりは必要です。
地銀の動向や、ふくおかFG・十八銀行の論点についてまとまっている。
個人的には「過当競争」についてどう扱うかは、地銀だけでなく公取委の合併判断のなかで気になる。
歴史的経緯ゆえに過当競争になって収益を稼げていない業界は少なくない。そこにおいて再編をして、残存者利益を享受できるようにするのと併せて業界の持続性を担保することは、マクロ的な利益は少なくないと思うが、公取委・独禁法の目的からは逸脱する。
山田さん・野崎さんがコメントで触れられている「未来の持続可能性」、後編で楽しみ!