MIT、光で硬さを制御できるポリマー素材--柔らかい状態だと自己修復が可能
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注目のコメント
元論文これか。
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0339-0
え、これ藤田研の錯体の応用か!?
早く会社で元論文読まねば…!
追記
なるほど。これは解説せざるを得ない。(藤田研出身なので)
自己組織化、という研究の分野があります。
しかるべき相互作用をするいくつかの分子を、然るべき形にデザインして、混ぜ合わせると、ひとりでに、最安定な構造に落ち着く、という現象を利用した研究です。サムネイルで言うところの、オレンジ色の球状のフレームワークや、青色の四面体が複数組み合わさったようなフレームワークのような形も、デザイン次第で実現可能です。
フレームワークの形は、金属イオンと、金属イオンに配位する配位子の形の組み合わせで、大体の場合、一意に決まります。
今回の研究は、こんな感じです:
フレームワークを構成する配位子の構造を、光で変化させる→最安定構造を、分子自身がもう一回探し直して、フレームワークの構造が変わる→配位子同士をリンカーでつないでいるので、フレームワークの構造の変化が、素材全体の構造の変化に伝搬する→変化が劇的なので、硬さ、のような機械的な特性も変化する
すごいところ:
僕の知る限りでは、光でフレームワークの構造を変える、というのは見たことある気がする(うろ覚え)けど、それが機械的な特性にまで反映される、という例は初めてみた気がする。
あと、まあ、いちおうSAXSという手法で、ちゃんとフレームワークの構造が変わっていることもサポートしている。(本当は、リンカーでつながないやつの単結晶X線構造解析のデータがほしいけど、それがあるんだかないんだかは、酔っ払った頭では探しきれない)
という点でしょうか。
自己組織化という研究分野は、「弱い相互作用」を利用して構造を作るために、材料に持っていこうとすると、脆さが致命的に低いことが問題になりますが、なんか、それを打破するのに、けっこう良いヒントになっているかも。
結論:
おもしろい。