【山口周】アートの素養を高めれば、論理的能力も向上する
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ここでは、アートは見るものと書かれているのでつい美術鑑賞を想定しがちですが、キャプションを見に行き、その絵が何を象徴していると言った評論家が書くようなうんちくを確認するような鑑賞だと意味がないわけです。その時間と五感を全て鑑賞に投入し、自分の感情の動きと素直に対峙する事が大事なわけで。そして、正解がない美意識を認識することとは、その感情の動きを認識するとともに認めてあげることであり、世の中には多くの認識があって良いのだという事を知る、多様性を認めることにもなる。自分は人とは違うけれどこれがいいと思う。でも違うものも人の感じ方であり尊重しなくてはいけない事を心からわかる。それが自らの美意識になって行くと私は認識しています。
音楽もアートです。しかもコンサートやオペラに出かければ、空間を共有するのみならず時間も共有する。ですからそれを鑑賞している間は没頭せざるを得ないという特徴があります。感情の動きに対して何かの知識が邪魔をしにくい。自分の感情の動きを知り、好き嫌いはあっても正解不正解はない事、多様な価値観を認めることを心から理解できる。ハーバードの音楽を教える教授によればハーバードが音楽教育に力を入れている1つの理由ははこれだそうです。
さらに最近音楽を実演すると海馬が発達することが確認され、また、想像力、認知力、学習能力の獲得に大きな影響がある事がわかったとのこと。ちなみに、ハーバードに入学する学生の6割は音楽大学にも入れるほどのなんらかの楽器の実力を持っているそうですよ。楽しみな連載が始まりましたね。
「特に新規事業のような先の読めないビジネスに取り組むときには、コンサルタント的な論理重視の戦略ではうまくいかないことが多い。」
これは、前職で戦略コンサルをやっていた時に本当に実感しました。コンサルタント個々人の能力というよりは役割の話だとも感じましたが、ファクトベースでMECEな分析や提案が大前提として求められている立場で、特にiPhone誕生以降の新規事業立案に求められる非連続的イノベーディブで直感的な体験創出との相性の悪さにモヤモヤしたのを覚えています。
なので、今のコンサルファームがデザインファームを買収していく方向性はとても納得感があります。
ただ、アートは感性や直感だと記事の中にありましたが、
少なくとも現代美術は非常にロジカルで構造的です。
美術史や社会史などを演繹法で論理を何層にも積み上げています。なので美しいものとして耽美的に向かい合う姿勢は誤解のもとかなと思いますし、感性が鍛えられる訳でもない気がしています。
一方、自分自身が積み上げた論理を自ら破壊し再構築を繰り返すアートに親しむ事は、確かに、いつのまにか1つのKPIに縛られて猛進してしまう事から逃れ、そもそもの目的を何度も問い直す様な本質的なクリティカルシンキングを獲得するという観点ではビジネスなも有用かも。
山口さんのご指摘の様に、多様な正解の中にから自分で正解を決め自分でその正解を問い直す、そんな姿勢がこれからのビジネスパーソンにますます必要になる気がします。山口周さんとはKeio Art Management Expert Seminar (通称AMEX)という連続講座の卒業生コミュニティで知り合ったんですが、アート関係者ばかりの中でずいぶんとサイエンスに強い人がいるなぁ…と驚いたのを思い出します(笑)
課題が多様化/複雑化している一方で「正解のコモディティ化」しているという指摘は面白いですね。ハーバード大の「多重知性」というコンセプトも興味深い!!