ラインビルダーとは何か、なぜ今、必要なのか
コメント
注目のコメント
平田機工とスマイルカーブに関する指摘が面白い。スマイルカーブを「台湾EMSのマーケティング用語」とずばっと切り捨てるのが非常に面白い見方と思った。確かにその通りでなんでもかんでもファブレス最強という風潮は違うんですよね。
メモ
> 平田機工は、業種分類的には、機械メーカーということになるのだろう。事実、自社で機械を設計製造している。だが、その本当の業態を表すならば、「ラインビルダー」という言葉がふさわしい。ラインビルダーとは、高度に自動化された製造ラインを、機械も制御もITも含め、丸ごと一式作って、顧客の工場に納める仕事である。
> 日本の工場づくりには、大きく三つの問題点がある、とわたしは考えている。
(1) 空間・レイアウト・環境制御に関する考慮が足りないこと
(2) ITのインテグレーションが欠落していること
(3) 生産のスケーラビリティ(拡張性)・ポータビリティ(海外移植性)を最初から考慮して設計していないこと
上記の問題については、個別にこのサイトで触れてきたから、ここではあえて繰り返さない。しかし、それらを生み出した根本問題がある。それは、製造業における生産技術部門の弱体化である。いろいろな有識者の意見をきくと、どうも10年前のリーマンショックがきっかけで、日本の製造業は大幅に生産技術者を切ってしまったらしい。そのツケが、好況になってきた現在に、回ってきたのである。
結果として生まれたのが、全体性(システム思考)の喪失、縦割りと分業病だろう。そして、このトーンは上記の白書の記述とも合致している。むろん、もっとさかのぼれば、工場の成長と改善を担う中核の生産技術の役割を、十分理解せずに切り捨ててしまった経営者の側に責はあるのだが。
いずれにしても、今から急に生産技術を社内に再建する時間はない。だから、工場づくりの「自前主義」からの脱却こそ、解決策である。そしてアウトソース先としての、ラインビルダー業界の確立と認知が、急務であろう。これがわたし達の提言だ。カンバンやQC活動は日本の素晴らしいエンジニアリング手法と思っています。ただ現在の製造業において取り組むべきテーマは内的にリファクタリングしたり品質コントロールすることよりも、外的な変化にどう対処していくべきかに移っているということでしょうか?テーマを移動させることさえできれば強みになりそうな気がします。
下に気になったポイントをいくつか抜き出しましたがITのインテグレーションの欠落、とあります。何をどうしたら全体が良くなるイメージを掴めるか、まるっとインテグレーションをアウトソースする発想や信頼を持てるかは、ITやデータに詳しいことではなく、自分達で課題感が持てるか、経営層がその環境を作ることができるかでしょうか?門外の感想でした。
———
なぜなら、製造現場で積み重ねてきた改善活動は、ものづくりに関わるバリューチェーン全体の中で、部分最適にとどまっているからだ。「個別の現場が主導する部分最適」は、しかし、「『現場力』の再構築を『現場』に丸投げ」した結果、生じたものだ。本来はそうではなく、「経営層主導により、バリューチェーン全体で全体最適化を図った現場力の再構築が重要」だと、白書は断言する。(P.86)
「過去:経営環境の変化が小さい時代 ⇒ 部分最適の積み上げが全体最適に」
「今日:経営環境の変化が激しい時代 ⇒ 部分最適を積み上げても全体最適とならない」(P.170-171)
そして、「システム思考、及び学問としてのシステムズエンジニアリング(システム工学)習得の強化が求められる」(P.169)とも書く。
日本の工場づくりには、大きく三つの問題点がある、とわたしは考えている。
(1) 空間・レイアウト・環境制御に関する考慮が足りないこと
(2) ITのインテグレーションが欠落していること
(3) 生産のスケーラビリティ(拡張性)・ポータビリティ(海外移植性)を最初から考慮して設計していないこと
しかし、それらを生み出した根本問題がある。それは、製造業における生産技術部門の弱体化である。いろいろな有識者の意見をきくと、どうも10年前のリーマンショックがきっかけで、日本の製造業は大幅に生産技術者を切ってしまったらしい。そのツケが、好況になってきた現在に、回ってきたのである。
結果として生まれたのが、全体性(システム思考)の喪失、縦割りと分業病だろう。