MRJ消えた4000億円 三菱重工、損失なしで資産減額
コメント
注目のコメント
日本の会計原則には継続性の原則(= 昔適用した会計基準を、その後も変えずに適用し続けることが必要、という考え)があります。この原則により、あるべき and/or 経営者の考える適切な会計処理に変更しようとしても、余程の理由がない限り既に適用している会計処理方法を変えることはできません。
(なお、この継続性の原則の目的には、経営者に利益操作の余地を与えないこと、そして投資家にとり重要な財務諸表の連続性を確保することにあります。)
しかしながら、「日本の会計原則」から「IFRS(欧州を中心とした国々地域の会計原則)」に会計原則自体を変更することは、許容されています。ある意味会計のルール(会計原則)が想定外のジャンプをすることで、継続性の原則を無視した、新たな会計処理が適用可能です。
私には物事の善悪を判断することはできませんが、本件はクリエイティブな会計の処理であるとは思います。
なお、一般論として、会計原則や会計処理方法を変更しても、会社の実態には一切変化はありません。しかしながら、財務諸表の利益数値の変化には、株式市場の株価は反応しがちです(株価形成には1株当たり利益 = EPSの影響が大きいため)。経営者は、株価を意識していますので、株価に影響を与える将来のEPSをある程度予見可能でコントロールできる状態に置きたいものです。
—-
三菱重工は、2018年度(2019/3期)からIFRSを適用しますややこしい処理なのでしかたないと思いますが、記者の方がきちんと理解していないままに書いてしまった残念な記事です。
日本基準からIFRSへ移行するのは2019年3月期(今期)からなので、MRJ関連の4000億円の資産が消えちゃうのは今期から。その姿がはじめてお目見えするのは今月で終わる第1四半期の決算からになります。
日本基準からIFRSへ以降する際、あたかも太古の昔からIFRSを適用していたと仮定したらどのようになっているか?という姿で期首のバランスシートをスタートさせるので、4000億円を減損損失としてPLに計上せずに済んだ、ということだと思います。
ま、純資産は4000億円削れているんだから、ストックで見たら、どっちだって同じじゃないか、ということなのかもしれません。
なんだかわかりにくい、という指摘はそのとおりだと思います。
米国会計基準もIFRSも理論的に絶対に正しいかというとちょっと怪しくて、多分に政治的、場当たり的につくられている面もあり、わかりにくい面がいまだにありますね。
もっとも、会計基準を各国共通のルールにしなくてもいいという議論になるとそれとこれとは別の話です。
やはりワールドカップのサッカーをやるときは世界共通の同じルールの下でフェアにやらないとめちゃくちゃになるわけで、各国企業を比較するときも同じルールで味わいたいものです。外資系証券会社で証券化を財務戦略であると勘違いしていた自分を思い出す。経済実態は何も変わらない。経済実態こそが本質である。そしてストラテジストやアナリストの仕事は会計操作を見抜き経済実態や本質を見抜くこと。実際に何が起きているかに注目したい。