【田邊雅之】史上最も政治的なW杯。プーチンが目論む「巨益」
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オリンピックやW杯は、国際的に孤立した政府が復権する好機になります。1930年代のベルリン・オリンピックもメディアを駆使したナチス政府が、それまでユダヤ人政策などで国際的に非難されていたにもかかわらず、華々しく注目を集めました。2008年の北京オリンピックも、1989年には天安門事件で孤立した中国政府が世界の主役に躍り出たかのような印象を、少なくとも中国国民には与えたでしょう。開催国に世界中の代表が集まり、世界から注目される様は、その国の政府が起こした人権侵害や軍事侵攻が全て許されたかのような印象を与えます。1980年のモスクワ・オリンピックこそ多くの国がボイコットしましたが、冷戦の最中だから起きた例外です。
国際大会を機に大規模な公共事業でインフラを整備して経済成長の起爆剤にする、というような時代ではもはやありません。しかし、国際的な孤立から抜け出せるとなると、費用対効果の計算も異なってきます。この記事は、ロシア国営ガスプロム社の欧州サッカー界への影響を指摘している点で慧眼です。サッカーへの投資で大きな効果を得ている、という主張もプーチン政権の立場からはありえるでしょう。もっとも、赤字は赤字であり、個々の国民に得があるわけではありません。そもそも国際的孤立から抜け出したければ何の得にもならないジャーナリスト暗殺や諸外国への軍事侵攻をやめればいいことで、その方が費用対効果からいっても得です。スポーツの政治利用は、結局のところ国民と経済にとっては損です。W杯ホスト国の開催費用の推移を見ると、その膨れ上がり方が異常である事がよく分かります。
健全な拡大のために、スポーツの価値の本質である「スポーツマンシップ」を改めて共有する必要性を感じました。内田選手で有名なシャルケ、そこの胸スポンサーにガスプロムはついている。なんでロシアの企業が、とは今までも思っていたが特に調べたこともなく、本記事でスッキリ!
スポーツは感情を動かす。感情を動かすゆえに功罪あると、改めてスポーツとビジネスなどの歴史を振り返りながら感じる。