この連載について
今、世界で空前のジャパニーズウイスキーブームが到来している。その裏側には、100年以上も前から、日本でウイスキー製造を始め、日本で洋酒文化を広めてきた、ある一族の存在がある。国内最大の非上場企業サントリーで受け継がれる、創業家経営の秘密に迫る。
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酒類や清涼飲料を中心に健康食品、花、外食など幅広く展開するサントリーグループ全体の経営戦略の策定・推進、およびコーポレート機能を有する。
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しかし、サントリーいろいろ面白いな。たとえば昭和の宣伝部が開高健とか文豪を抱えていたとは知らなかった。
自社の売上の3倍近い海外のプレイヤーを買収して海外に打って出るというのも、普通の感覚でいえば博打でしかない(もちろんJTみたいな特殊な成功事例はありますが)けれど、それを「やってみなはれ」で実際にやってしまうところがすごい。
論理的にいくら考えてもわからないことを決断する時にこそ経営の胆力やアートが問われると思いますが、そういう時に、その決断にともなうリスクを通常は考えるもの。オーナー経営かつ非上場だからこそのリスクの取り方ということなんでしょうね。
過去に佐治敬三氏、そして佐治信忠氏が「官僚的になっている」と繰り返し発してきたように、組織が硬直化しないよう創業家がどういう役目を果たしてきたかもとても興味深い。
もっとも、最近のサントリーは少しおとなしい印象も否めません。が、ウイスキーという参入障壁の高いお酒を核に、世界で戦うことを「決断」したことは評価に値すると思います。
ソフトバンクのADSLパラソル作戦もそうですが、「最終的に黒字にこぎ着けた」ことで「成功」と言われるが、実は累損解消までに至らず、単純な数字だけで言えば「失敗」というケースもあるので。
もちろん、事業を作り上げた、ということは数字以上の意味を持ちますし、特にサントリーさんは非上場なので自由なので良いのですが。
やってみなはれ史はとても面白かったです
伝説の宣伝部である開高健、山口瞳の話も有名ですが、今風に言えばコンテンツマーケティングを外注せず内製していた、ということでしょうか。当時はテレビCM全盛ですが、たくさん有名なコピーやCMがサントリーから出されているので、意図的に意味のある人材を集めていたのでしょう。
個人的に一番好きなエピソードは青いバラ。大人たちが、お金を生まない研究に真剣に取り組み続けたという姿勢には熱くなるものがあります。
・初代・二代目社長の「やってみなはれ」=「社長が決めたことを社員が何とかしてやってみろ」の意
・三代目・四代目社長の「やってみなはれ」=「自分で決めたことを覚悟と責任を持ちやってみろ」の意
※出典:
https://www.suntory.co.jp/recruit/fresh/manage/history.html?_ga=2.69245783.675423384.1528244112-1021289456.1528244112
これってある意味逆の意味になってますよね。創業家の強烈なリーダーシップに頼りすぎずに現場力を高めようとしてきた歴史が見えます。
あと理念がどういう風に英語になってるかも必ず見るのですが、「やってみなはれ」はこんな風になってます。確か以前のHPでは Go for It ! とか訳していた頃があったと記憶しているのですが、やめたみたいですね。無理に訳すよりもこちらの方が良いような気がします。(ただ「やってみなはれ」という関西弁のトーンは日本人にしか伝わらないでしょうが・・)
Yatte Minahare
We earnestly accept challenges. United by our drive to succeed, we move together to create markets and provide new value. From the start, Suntory has been a pioneer. Today we look forward boldly and confidently.
あと「利益三分主義」も同社の重要な価値観ですよね。YKKの吉田家も全く同じ言葉を使っています。昨日の鳥井信宏氏は「陰徳」という言葉を使っていましたが、グローバルに成功する日本企業の共通点のように思います。
僕はサントリーの社員でないから、直接言われたことはないけど、なんか、どことなく、字面からは、失敗が許容されているような空気を感じる。
日本語訳(?)すると、「やってみなさい」「やってみたら」「やっちゃえ」とかが近いのかな?でも、ちょっとニュアンス違うんだよな。
追記
今、「ティール組織」を読んでいます。その中の製造業の事例としてでた、FAVIの口癖が「やってごらん」と紹介されていました。これは、かなり、「やってみなはれ」を聞いた時の感覚に近いです。
宣伝部に後の有名作家を抱えたり、青いバラを作ってしまうのは本当にオーナー企業ならではの決断だなと思います。
そして中村さんがコメントされている「やってみなはれ」の解釈の変化について勉強になった(ありがとうございます!)。企業の歴史と併せて変化していっているのも興味深い。
記事を見ていて素晴らしいなと思ったのは、攻めるときに徹底的にリスク・コストをかけていること、かける人がいるということ。
ウイスキーも時間リスクをとる事業だし、そのなかでも竹鶴氏のスカウトでコストもかけている。宣伝部も個性あふれる人が多く存在するのはリスクでもある。ハイボールも最後は無断でというのも、やはりリスクを伴ってでもやりたいという人がいるということ。