スルガ銀不正融資事件が「日本版サブプライム問題」に発展する懸念
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サブプライム問題があそこまで延焼したのは米国全体の住宅価格が広くあまねく上昇し、ホームエクイティローンなどを通じてさらにレバレッジが膨らみ、消費・投資行動が過剰化したからです。本件がそこまでの広域性を持つかどうかは留保が必要かとは思います。
後段で言われている「機会の限界」の問題は本当にその通りです。基本的に銀行の機能は資金過不足の仲介ですからマクロ経済環境が芳しくない時に出来ることは限られています。
なお、巷で言われがちな「銀行の本業である貸出」というのは高成長を前提として家計部門から資金需要の旺盛な企業部門への資金過不足の仲介が起きることを念頭に置いており、無意識のうちに「終わった高成長期」の枠から思考が抜け出せていません。低成長期に銀行の国債保有が膨らむのは民間部門の資金需要が芳しくなく、これを支える政府部門への資金過不足の仲介が起きるからです。動学的資源配分の要である貯蓄・投資バランスの基本です。サブプライム問題などのバブル崩壊がマクロ的にダメージを受けるのは、金融機関のリスクテイクが、当該金融機関のリスク許容度を超えた場合です。今回の件は、ハイリスクなビジネスを行い、不正があったにせよ、リスクが顕現化しても、スルガ銀行のバランスシートを大きく毀損したわけではありません。したがって、日本版サブプライムとはなりづらいと思います。
リスク管理がかなり厳格になり、そもそもリスクが取りづらい、そして価格上昇が見込める資産が限られている中、唐鎌さんが指摘されているように、「機会の限界」に金融機関は直面しています。