24時間振り込みに105行参加、全銀協10月から新システム
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現在、多くの銀行が3時で閉店するのは、銀行間を結ぶ全銀ネットが3時20分で停止するため、他行への送金が行えなくなるためです。
全銀ネットは、3時20分以降、バッグラウンドで大口取引の処理を一括して行う仕様になっているため、物理的に営業時間が制限されていたわけですが、新システムでリアルタイムで振り込み処理ができるようになるため、銀行はシステムの制限なく、自由に営業時間を設定できるようになります。
ただ、単にシステム的な制限がなくなるというだけなので、24時間振り込みに対応するかどうかは、個々の銀行の判断です。
今まで金利差やATM利用料ぐらいしかなかった銀行によるサービスの差は今後ドンドン開いていきそうですね。本件、ブラウンスイスさんが怒り(?)のコメントをされていますが、ご指摘のように、5年以上も前から取組んでいたものです。「いまさらー」と思われるかもしれませんが、現代のピラミッドである巨大な金融機関のITシステムの構築・改定には時間がかかってしまいます(ピラミッドが複雑すぎて現時点で参加できない銀行もありますので・・・)
ちなみに、本件は誤解があるかもしれませんが、異なる銀行同士をつなぐ24時間化で、これまでも同じ銀行を使う利用者の振込は24時間で対応している銀行はあります。ネット銀行も他銀行への振込は24時間できませんでした。
日本の金融機関にとってのある種の不幸は、平日日中の即時着金システムを世界に先駆けて1970年代から導入したので、技術面などを含めて、他の先進国にLeap frogされてしまった面があります(ケニアのMPSAとはまた違う意味で)。検討するタイミングが遅すぎるとの批判もあるかもしれませんが、24時間化については、他国をみると(①)、英国が2008年で最速ですが、他の国はまだ実現できていない国も多いです(2010年代がほとんど)。銀行業界全体がオワコン!との批判もあるかもしれませんが、とくに決済分野は金貸とは異なり、経済の血液でもありますので、いかに安全に行うか、というのが重要になります(ましては日本のような経済規模の金額を扱うのは大変です)。
銀行がオワコンであるならば、他企業が新たなイノベーションを生めば消費者の利便性は高まります。むしろ銀行がダメなところを何らかのサービスで補っていく環境を整えることが重要だと思います(そういう意味で銀行の高度化にはAPIの議論などもありますので、環境は整いつつあります)。
①日銀の決済システムレポート(PDF27頁のところにわかりやすい図があります)
http://bit.ly/2I6SmCT
本当は岩下教授の方がお詳しいので、私がコメントするのは憚れますが・・・
追記
すいません、岩下さんのお名前タイポしてしまいました、、、日銀決済局でご一緒させていただいたこともあったのに本当にすいません。ご指摘ありがとうございます。日銀決済局にいた頃、本件も含めた高度化案件が重なり、通常業務が私のところに寄せられてきて、仕事がたくさん(2倍?)になったのは良い思い出です。岩下教授もぜひコメントいただければ。今更という声も少なくないようですが、一歩前進には違いないでしょうね。ちなみに信金・信組を含めると計505の金融機関が参加する見通しとのこと。
「全銀システム稼動時間拡大のサービス提供開始当初の参加予定金融機関について (平成 30 年4月末時点)」(平成30年5月10日、一般社団法人全国銀行資金決済ネットワーク)
http://www.zengin-net.jp/announcement/pdf/announcement_20180510_01.pdf