怒りを激化させず、適切に対処する
怒りは、人間の持つ強力な感情のひとつだ。そして、健康的に表現されることが必要な非常にノーマルな感情でもある。
しかし、適切に怒りを表現するには、時と場所が重要だ。われわれはみな、怒りの感情が激化しないようにコントロールする方法を学ぶ必要がある。
そのために必要なのは「心の知能(emotional intelligence)」だ。状況を複数の角度から理解する自己認識(self-awareness)と、怒りの引き金が引かれる前に他の複数のフィルターを通じて物事を見ようとする自己管理(self-control)を実践できる能力だ。
怒りはいずれやってくる。その時に適切に対処する方法を知る必要がある。うまくやらないと会社の志気が低下し、リーダーシップや協調性を妨げるおそれがある。
本記事では、怒りのコントロールが巧みな人たちの習慣を6つ紹介しよう。
1.「自分を怒らせる人」との間に境界線を引く
健康的な境界を設けるとは、物理的あるいは感情的に境界を破ってくる人に対して毅然として対応し、制限を設けられるような自己主張ができることだ。
それは自分に対して「この人が挑発してくること、この状況を利用しようとすること、自分の尊厳を無視してくることを許してはならない」と言い聞かせ、しっかりとやり遂げることだ。
2. 自分の怒りの底にある「根本的な理由」を突き止める
心の知能が高い人は、怒りの理由が表面的に経験しているものよりも根深い場合があることを知っている。探りを入れ、分析し、深く潜り、「私の怒りの底に、本当は何があるのか」と自分に問う。
一歩引いてそもそもの原因に目を向けるとやがて、怒りが実は自分を乱す何かへの反応であることがわかってくる。それは不安、心配、失敗することへの恐怖心など、あなたが抱える「山」のいちばん下にある未解決のものであることが多い。
こうした一次感情は、キャッシュフローがない状況で人件費の確保策を考えるようなときに対処する必要があるものだ。怒りはつねに引き金であり、感情そのものとしては二次的なものだ。
あなたを実際に悩ませているものの正体は何なのだろうか。分析のうえで自分に正直になろう。そして自分に対して、容赦なく率直に「私の怒りの本当の理由は……」と語るのだ。
3. 反応ではなく、対応をする
チャールズ・スウィンドル牧師はかつてこう語った。「長く生きるほど、人生は10%が出来事であり、90%が出来事への対応だという確信が深まる」
心の知能が高い人がアドバンデージを持っているのは、状況を評価し、視野を手に入れ、決めつけずに傾聴するからであり、すぐさま反応することを控えるからだ。
それは「判断をすぐ下さないという判断」を下すことかもしれない。大げさに反応せず、状況を理性的に考えることで、より筋の通った別の結論に到達できる。心の知能が高い人が、怒りの沸点に到達した際の対応の仕方を3つ紹介しよう。
・引き金が引かれたと察知したら、いったん引いて、状況が好転してから戻る。

・彼らは自分の怒りを認識しており、誰かに話をすることで、状況に対する視野と理解を改善する。

・感情のコントロールを失った場合に起こりえる結果を自覚している。
4.「6秒間」待つ
なぜ6秒なのか──。それは脳や体の中に生じる感情の化学物質は通常、持続時間が約6秒だからだ。激しいやり取りの際にも時間を少しおくことができれば、怒りの化学物質の生成は鈍化する。
イライラしたり怒っていたりしても、激しいことを言う前にこのわずかな「間」があれば、このことを言えばどうなるか、別の行動だとどうかについてプラスとマイナスをすぐに評価できる。こうした思考を挟むことで、より慎重な選択ができる。
5. 口論の後は、こちらから手を差し伸べる
口論や誤解があると、怒りや憤りが高まるのにまかせて、謝ってくるまで相手と接触しないという人が多い。そうするのが簡単なのは確かだ。しかし、それが愚かなのもはっきりしている。
心の知能が高い人は、友人を失うのと引き換えに自分のエゴを好きにさせるようなことはしない。たとえ先に謝ることになろうと、関係修復のためにこちらから接触する。そうした自分を抑えた勇気ある行動は、人間関係にすばらしい効果がある。
6. プラス思考に切り替える
激しいやり取りの後の怒りが、指を鳴らせば消えてなくなるということはない。口論から何時間たっても頭から湯気が出ている場合には、プラス思考に切り替えるべく意識的に取り組まなければならない。使える方法を2つ紹介しよう。
感謝を思い返す 過去24時間に起きた「感謝する物事」を、2分間ほどですべて紙に書き出す。ポジティブ心理学者のショーン・アコルによると、この簡単なエクササイズを3週間続けると、否定的なことではなく肯定的なことを脳に探させる訓練になる。

これは、脳に楽観主義を教え込むいちばん手っ取り早い方法だ。訓練が終わってから半年経ったあとでも、楽観主義が大幅に促進されているという。

共感を学ぶ 自分を不当に扱った相手に対して別の見方をする。その人がいま直面しているであろう、怒りの反応の原因となった困難な状況を想像するのだ。

共感によってほかの人のフラストレーションを理解して、相手のそうした感情があらゆる点で自分の感情と同じくらい現実であることを心の中で了解する。他者の気持ちを理解し共有するこの不思議な力は視野を育み、チームのメンバーたちを相互協力に向かわせてくれる。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Marcel Schwantes/Principal and founder, Leadership From the Core、翻訳:緒方亮/ガリレオ、写真:Evgeniy Anikeev/iStock)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.