アリババが買収した香港有力紙、中国政府「広報紙」への変節
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サウス・チャイナ・モーニング・ポストは、香港返還までの英国統治時代は、英語メディアとして当時の香港政庁を代弁し擁護する立場をとってきました。1980年代にルパート・マードックに買収されてからもその立場は変わりませんでしたが、1990年代にマレーシアの砂糖王、ロバート・クォクに買収されてからは、中国政府寄りの論調に変わっていきました。
同紙は、論調の変化はありましたが、体質がさほど変わったわけではないように思われます。英国の政庁の広報紙をやっていたのが、中国共産党の広報紙に変わりつつあるということのように見えます。
アリババのジャック・マーが中国共産党と緊密な関係を築き、積極的に政府の構想に貢献しようとしているのは確かです。アリババによるビッグデータの活用、治安や個人情報の確保に比べれば、新聞の買収と経営はそれほど大きな貢献でもないでしょう。
2000年以降、胡錦涛政権が「三つの代表論」で示した方針、資本家階級を積極的に政府に取り込み、協力を求めていくという方針は、最近になって非常に大きな力を発揮しているように見えます。SCMPはアリババ資本が入ってから、トップが若い方に変わりましたよね。RISEに登壇されていたセッションを去年聞きましたが、新しい戦略などはなかなか面白かったです。
SCMPとシンガポールNSTがアジア広域でページビューが増えていると聞きます(多分、公式には非公表だと思いますが)。Far Eastern Economic Reviewが無くなって以来、アジア広域を英語で包括するメディアがずっと登場していません。
あとは、Nikkei Asia Reviewでしょうか。FTとの連携がうまくいき、日本目線をもう少し抑えられると、かつてのFar Eastern Economic Reviewのようになる可能性があるのではないかと思っています。
FEERはとても良いメディアでしたが、電子化の波に乗り遅れてしまい、廃刊となりました。アジアといっも各国が多様なので、ざっとみられ、かつ週間でそれなりのInsightが読めるという、ちょうど良い媒体だったのでしたが・・・FEERはとても貴重な存在でした。
もう一つ可能性を感じるのが新興のASEAN POST。マレーシアを本拠としていてASEANについて良質な報道を展開しています。短期間で相当ページビューが増えていおり、個人的にかなり注目しています。SCMPの最大の懸念は、大陸政府に関する報道ではなく、アリババ自身に関する報道が増えたという点にある。
大陸政府に関する報道は、誰もがそれなりの視点を持って見るし、海外メディアとの比較ができる人たちがたくさんいる。
しかし、アリババ寄りの記事は、普通の読者には気がつかないだろう。
読売新聞やスポーツ報知は、巨人のことばかりを報じるが、これはご愛嬌でしょう。
各メディアで政治的なスタンスが違うのは許されているが、ビジネスで特定の企業を持ち上げたりはして読者を洗脳するようなことは決してしてはならないと思う。