【北欧】小国フィンランドが狙う、次の「パラダイムシフト」
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年に1度は北欧に取材に訪れる、定点観測人です。
エコとか環境というと、まだまだ「綺麗事」とか、正しいことだけど「コスト」という認識を持つ人も少なくありません。これを、ビジネスとして成立させていこうという取り組みは、やはりフィンランドらしいです。
フィンランドという小国の取り組みは、条件の異なる日本で簡単に導入できるものではありませんが、常に最先端を捉えながら、次の時代を築く政策をトライアンドエラーを繰り返しながら進めていく、そのスタンスは、もう少し取り入られたら面白いのにな、と勝手ながら感じています。フィンランドといえばノキアがあり、ソフトバンクが買収し今はテンセント傘下のスーパーセルがあり、世界一有名なゲームキャラのアングリーバードがある。スタートアップコミュニティでは世界で最も有名なイベントの1つSlushもある。といった具合にスタートアップ、クリエイティブが世界に誇るレベルの国です。
幸福度ランキングなどもそうですが国としての戦略、PRが成功している国。理由の一つは規模なのではと推量しています。同じくらいの規模の国といえばシンガポールやニュージーランドなど。
私は常々近年は国民国家単位ではなく都市単位の国際競争の時代と申していますが、これらの国は都市レベルの人口規模です。統制面等の利点があるのではと推量できます。
今月末ヘルシンキに行く用事があるので見聞してきます。フィンランド経済が注目されるようになったのは、知識集約型経済の成功例として、でしょう。しかも、1990年代のごく短期間に、ノキアとリナックスの国として知られるようになったことによるでしょう。
フィンランドは20世紀までロシア領であり、ロシア革命に乗じて独立した後もソ連との戦いを繰り返し、1990年代まではソ連の強い影響下に置かれました。そこから短期間で知識集約型経済の成功モデルとなったことで、先進国以上に、次の発展段階へのモデルを模索する中進国や急速な発展を夢想する途上国から注目されるようになったといえるでしょう。
フィンランドは人口5百万人、北欧モデルの税制、福祉、教育をとっている国です。その時点で、全ての国が模倣できるモデルではないのですが、注目されるのは、研究開発の高度さ、特許取得数の多さです。一つには、国内の市場も人材も限られており、企業は初めから外国の市場、外国での生産、外国での研究開発を成功させるにどうすればよいか、を専ら模索してきたことが幸いしたと考えられます。移民で人材を確保する、のではなく、企業がひたすら外国へ出ていく国です。
ノキアとリナックスの時代は早くも終わりを告げ、フィンランドは外国市場に依存する知識集約型社会として、新しい産業で主導権を得なければなりません。サーキュラー・エコノミーというのをフィンランドのみならず、ヨーロッパ、とりわけユーロ圏のトレンドとしたいでしょうし、それには成功しつつあります。当面は何よりも中国市場でサーキュラー・エコノミー技術市場の巨大なシェアを握ることが最大の課題でしょうし、できればインドや日本にも進出したいでしょう。