同僚の評価は客観的か? 匿名による人事評価の問題点
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上司には部下を客観的・正当に評価するインセンティブがあるのに対し(歪んだ評価をするとグループの成績が落ち、結局は自分の評価が下がってしまう)、同僚にはそのインセンティブがないことが原因だと思います。
匿名による評価について書きます。
当然ながら匿名で評価するするメリットもあって、面と向かっては言いにくいが価値のある意見を引き出せる効果が代表的だと思います。
それでも、人事評価を匿名で行うことには、この記事の通りデメリットの方が大きいと考えます。個人のことに言及するというのは大変デリケートなこと。そのときに発言者がわからないというのは、かなり無責任に感じます。発言責任が問われない形で公平性を担保することは非常に難しいのではないかなぁと。
加えて、人間同士の話なのだから、面と向かって言えないことは言うべきではないと私は思います。相手が同僚であれ上司であれ。人間関係とはそういうものだと思います。
例えばこれが「目安箱」的なものであれば、匿名で意見を募ることにはメリットの方が大きい場合もあると思います。『同僚の評価は客観的か?』という質問にダイレクトに答えるならば、『主観的に決まってるでしょ』、です。
もっと言うと、上司の評価だって主観的です。
コンピテンシー評価を導入して、一生懸命に客観性を確保しようと多くの企業が頑張っていますが、所詮は人が人を評価するので、主観的にならざるを得ないのです。
例えば、コンピテンシー項目によくある『主体性』というような言葉の定義は、厳密に確認すれば10人10色です。
脳科学的心理学的にも、抽象的な言葉の解釈は個性によって異なることがわかっています。
また、もしコンピテンシー導入で客観的な評価が可能なら、管理職が1次評価結果を持ち寄って実施する調整会議は不要なはずです。
本当に大事なことは、個人が個人を評価する結果は主観的なものの見方であることを前提に、客観性をどうやって担保するかという点なのです。
評価は、つまるところ解釈です。解釈に差があるのは当たり前。
先ほどの調整会議でやっているのは、結局のところ『多くの解釈をテーブルにあげて、集団としての解釈の調整をしている』ということなのです。
だったら最初から、主観的な評価を数多く集めて、多数の意見を集めることで客観化すればよいのです。
現在多くの企業が導入している、コンピテンシー基準+絶対評価+調整会議という流れは、莫大な時間を浪費し生産的な活動に影響を与えています。
この問題に気が付いた企業は、すでに改善に向けて動き出しています。
問題の本質は、結構深いところにあるんです。