いよいよ市場に、微生物がコンクリートを勝手に修復
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微生物がコンクリートを勝手に修復するのではありません。
コンクリートはもともと自己再生能力を潜在的に有する材料です。
これらのコンクリートでは微生物などを触媒・トリガーにしてその働きを促進しているのです。
これは私の哲学ですが、コンクリートは生き物です。
コンクリートは石と砂でつくった骨格の間に充填されたセメントと水が、化学反応を起こして硬化することにより固まります。
固まった後でも、環境によっては更なる反応を起こすことがあります。
そのひとつが炭酸化(中性化)と呼ばれる現象で、これはコンクリートのアルカリ分を形成する水酸化カルシウム(CaOH)と大気中の二酸化炭素(CO2)が反応し、炭酸カルシウム(Ca CO3)を生成することです。
記事中のコンクリートは、予めコンクリート中に混入させたカプセル内でバクテリアを眠らせておき、コンクリート表面にひび割れが入ることでバクテリアが目覚めます。
目覚めたバクテリアはカプセル内のエサを食べ、このとき排出する二酸化炭素がひび割れ部のコンクリートと反応して炭酸カルシウムを形成し、ひび割れを閉塞します。
一般的に炭酸化(中性化)は、劣化現象と考えられています。
水酸化カルシウムが消費され炭酸カルシウムを生成することでコンクリートがアルカリ性から中性に遷移し、内部の鉄筋を守る不動態皮膜が破壊され、鉄筋が錆びやすくなるからです。
しかし、ひび割れ部に選択的に炭酸カルシウムを生成できればコンクリート全体が中性化することはなく、ひび割れも補修することができます。
コンクリートを知る人間なら嫌がる劣化現象を逆手にとって利用した技術と言えるかもしれません。
開発者であるデルフト工科大学のヨンカース准教授の専門はコンクリートではなく生物学。
他の科学領域とのコラボレーションによりコンクリートはまだまだ進化します。デルフト工科大学、アナログICだけでなくすごい。
”この微生物は乾燥すると胞子状の殻をまとい、休眠状態で200年も生存する””割れ目から浸透した水と酸素が休眠していたバクテリアを活性化…炭酸カルシウムが生成”