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【木村泰司】印象派がフランスで認められなかった理由

NewsPicks編集部
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    静岡県立大学国際関係学部 准教授

    印象派に先んじてリアリズムの潮流がありました。文学でいえばモーパッサンとかフローベール、『女の一生』『脂肪の塊』『ボヴァリー夫人』のように、人間の醜さや利己心を描き、女性にも焦点を当てつつ、みじめな人生があることをこれでもかというくらいに描きました。絵画でいうとクールベなどもリアリズムの側面が大きかった人です。
     今日でもフランスの文化には、露悪的というか、人間の欠点や弱みを強調して注目する、時に皮肉るというところがあります。単に意地が悪いという話ではなく、そういう負の側面もよく理解しなければ本当に人間や社会を理解したとはいえないし、改善もありえない、という発想でもあります。そういうリアリティ直視できなければ現実逃避であるとして馬鹿にするむきもあります。
     こういうリアリズム的発想は古典主義に分類されるようなヴィクトル・ユゴーのような作家にもよくみられるもので、19世紀にはフランスを中心に広く見られるようになったものです。

    「あるべき世界(イデア)があって、人々はそれのみを見て従うべきである」という発想と「世界には多様な側面や価値観がありひとつの世界観が押しつけられるべきではない」という発想の対立は、古代ギリシアのプラトンによるイデア論とアリストテレスの関係にまでさかのぼることができます。カール・ポパーのような哲学者にいわせるとこの対立は、政治においては全体主義と民主主義の対立、経済においては共産主義と資本主義の対立にまで発展したということになります。
     絵画や文学の世界においてもこの対立が続き、世界には多様な価値観や側面があり、理解されるべき、という発想が19世紀後半のヨーロッパで強くなっていき、現在に至ります。リアリズムなどから始まり、次に印象派が現れました。この変化は音楽にも起こり、ドビュッシーやラヴェル、さらには平均律の音階まで否定されて、現代音楽へと発展していきました。
     絵画の世界だと、印象派に次いで、日本の浮世絵などからの影響を強く受けたセザンヌやゴッホ、ゴーギャンらのポスト印象派、そしてアフリカ美術の強い影響を受けたピカソらのキュビスムによって、20世紀の現代美術が始まりました。彼らが現実の新しい側面を把握して表現したことは、美術界の守旧派を含め、激しい批判も受けましたが、結局時代の潮流に乗って受け入れられていきました。


  • オランダ本社で修行後→宇宙領域→

    圧倒的に楽しませて頂いた連載です。今回の全体論はNagaoプロのコメントを楽しみにするとして、笑、

    同じ農民画派として括られてしまうこともあるブリューゲルとミレーですが、農民を描くという手段は同じでも、その意味背景が全く異なるというのは改めて意識すると、なるほど&示唆深いです。

    確かにブリューゲルの描く農民は、踊って楽しそうにしている方もいれば、悪さしたり、お尻が半分出ていたり、笑、明暗、風刺が効いています。一方、ミレーの描く農民は背景の精緻さもありますが、全体として素朴感、自然体が滲み出ています。

    (追記)
    ゴッホの画風は時代によって大きく異なっておりますが、特にフランスのアルル時代の作品は私のような素人目にも色使いを含め明確な違いが瞬時に判別できます。フランスに憧れのあったゴッホが、パリで働いたり、その後にも画家として今度は在住したり、最後には、本文では後期印象派として一緒に括られる「ゴーギャン」と南部のアルルで共同生活をしていたのは有名な御話です。

    パリ時代に渓斎英泉、歌川広重の作品を模した日本画を描くなど日本とのつながりも登場しますし、アルル時代は有名な「ひまわり」に代表される明るい色使いの絵が多い印象です。

    なお、「ひまわり」の作品は1つではなく、複数あります。その一つが日本で観られるという環境は、昨日もコメントした通り、やはり日本もすごいところだなとつくづく実感・感動します。

    ちなみに、NPの皆様にはゴッホ好き・通が多いようで、個人的にはほっこり&嬉しかったです。
    https://newspicks.com/news/2895879


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    大室産業医事務所 産業医

    日本でも現代で言うマンガのように、大衆的で一段下の扱いを受けていた浮世絵が、その文脈からは自由な欧米で人気となり、評価の逆輸入を受けた歴史があります。

    印象派も米国経由で本国で地位を獲得した分野とのことですが、つくづく「伝統としがらみは紙一重」と感じます。


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