実質GDP10-12月期年率+0.5% 8四半期連続成長 内需がけん引
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実質GDPの8四半期連続成長が強調されて報じられていますが、名目GDPが前期比年率でマイナスに落ち込んでいるのが気にかかるところですね。これではプラス成長継続といっても低空飛行すぎて自律的な成長軌道にはいつまでも乗らないでしょう。
この経済情勢にあって来年に控える消費増税を無理に断行するためにデフレ脱却宣言するなどということはないように願いたいものです。
最近は金融緩和の出口や財政健全化を求める声がまた大きくなってきたように感じていますが、そろそろこれまでに一歩進んで二、三歩下がるを繰り返してきたことに気づく必要があるのではないでしょうか。実質GDP8期連続プラスというと一見良さそうな感じですが、名目GDPがマイナス成長ですから、デフレ脱却からは遠のいてます。
背景には、GDPデフレーターがマイナスに転じたことがあります。
これは事前に予想されていたことですが、昨夏以降原油価格が上昇しており、原油価格の上昇は消費者物価には押し上げに効きますが、輸入が控除項目となるGDPのデフレーターには押下げに効いたということです。
原油価格の上昇は、海外から増税されるようなもんですから、日本にとってみれば所得の海外流出要因になります。
実際、原油価格の上昇により実質雇用者報酬も前期比マイナスに転じており、いくら単位労働コストやGDPギャップがプラスでも、GDPデフレーターや実質雇用者報酬がマイナスでは、とてもデフレ脱却宣言とはいかないでしょう。
金融財政政策の出口どころではありません。政府支出の減少で事前予想よりも下振れましたが、個人消費と設備投資が堅調に増えているので、0.5%という数字自体それほど心配する必要はありません。
それよりも、注意を要するのは個人消費の先行きです。物価上昇を主因に、実質ベースの雇用者報酬が前期比マイナスに転じました。身近な品目の価格が上昇しているので、購買力の低下は予想以上に消費者マインドを低下させるかもしれません。高額消費の追い風になってきた株高効果も消えたため、個人消費が慎重化するリスクには注意が必要だと思います。