「ヨーグルトがくっつかない蓋」をコンクリートに応用した清水建設の着想
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コンクリートは、お菓子づくりのように型枠に流し込んで作製します。
セメントと水、砂と砂利を練混ぜて作るコンクリートは、出来上がり直後はドロドロで流動性をもっているので、これを利用して自分の好きな形に固めることができます。
型枠は木製合板や鋼製のものがありますが、型枠の表面性状は出来上がるコンクリートの表面性状にもちろん影響します。
コンクリートの劣化の多くは、表面から始まります。
例えば塩分や酸素・水が表面から浸透して内部の鉄筋を腐らせたり、二酸化炭素と反応してコンクリートのpH(通常12~13程度)が低下してそれによって鉄筋が腐りやすくなったり、何かがぶつかってひび割れやキズが生じたり、長い時間をかけて摩耗やすり減りを受けたり、さまざまです。
本文にあるように「構造物の評価に直結するコンクリートの美観を損なう」のもそうですが、コンクリート表面の品質を良くすることは耐久性の向上にも直結するんですよ。
表面を緻密で耐久性の良いコンクリートにするためには、型枠がペリっと剥がれやすくなることと、流し込む時に振動を与えて空気・空隙を取り除くことが大事です。
型枠が剥がれやすいと、ヨーグルトが蓋にくっつくように、型枠にコンクリートが付着するということがなくなりますね。
そして、この技術のキモは、型枠に超撥水性を持たせて表面の空隙(あばた)を取り除くことです。
そうすると表面が非常にキレイでムラのない、高品質なコンクリートになるわけですね。
振動を与える作業が省力化出来ますし、過度な振動は材料が沈み込む別の劣化の要因にもなるため、この恩恵はたいへん大きいと言えます。
コンクリートの表面に後から壁紙を貼ったり塗料を塗ったり補強をしたりすることは多くありますが、コンクリートそのものの表面を施行時に改質する素晴らしい技術ですね。生物模倣系は熱いですよね。骨格とかはわりとなりゆきの結果感が強かったりするのですが、皮膚の表面構造とかディティールには最適解が見受けられることもしばしば。個人的にはいつか生物学者とコラボしまくる事業がしたい。