政府の成長戦略 4割の施策で進捗に遅れ
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「農林水産業を中心」に、成長戦略に遅れということです。実際に農業ムラの中にいる人間として、その通り農業における成長・革新はもっと抜本的に進めていかないといけないと思っています。
日本の農業における根本的な課題は以下の3つであると思っています。
1. 農地の個人所有
戦後の農地改革、さらにはその後の数多の区画整理によって超細分化された農地が、基本的に全国一律で個人の所有物(不動産)となっていることが根深くあります。この細分化によって、零細兼業農家が増えてしまい、相続税あるいは納税猶予が複雑に絡み、そしてそもそも地権者により農地利活用に対して全く見解やスタンスが異なってしまっていることで、農地集約に大ブレーキがかかっています。
2. 輸出偏向
今後はフードマイレージ(つまり輸送コスト)を最小化させていく方向に時代は向かっていくべきと思っているのですが、わざわざ海外に農産物を輸出するというコストを上乗せさせる動きが大本営の方針として止まらないことです。(少なくとも輸送コストがまだ高いうちは)農産物輸出ではなく、技術輸出&現地生産による外貨獲得がお互いにとってリーズナブルであると思いますが、発想は真逆です。
3. 情報の非対称性
自治体、あるいは単位農協ごとに、細分化・タテ割りされた技術やノウハウが多すぎることです。要素研究・要素技術としては文献をよく読むと素晴らしいものばかりであるのに、それが相互参照出来ないためにノウハウ進化が断絶しています。これからはナレッジはオープンであるべきで、ノウハウがネットワーク化された自律分散の産業にシフトしていくべきと考えます。
これら3つの根本的な課題が、農業の成長戦略の足にしがみついて離れない主たる原因かなと思っております。まあ農業については、JA改革はそれなりに進んだものの、2014年の成長戦略時点でも「企業の農地所有については5年後に検討する」程度の腰の引け具合でしたので、農林水産業を中心に進捗が遅れているというのは納得の結果です。