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少数民族という一般化した言い方では、彼女は民主化運動時代からも、和解の道を探ると明言し、少数民族はスーチーを支持しました。ロヒンギャもこの路線を支持。ただ、ミャンマーのエスタブリッシュメントで言う『少数民族』にはロヒンギャは入っていません。ロヒンギャはそれだけ特殊な扱いを受けているのです。
英国の植民地政策や、日本の占領政策も関係しています(難民特集第4回参照)。パレスチナ・イスラエル問題は英米の政策の産物という批判がありますが、ロヒンギャ問題には、日本の対外政策の歴史も一枚噛んでいることを理解し、他山の石とする必要があります。
過去に束縛される必要はありませんが、歴史を知った上で、現代の私たちがどう振る舞うかは、国際社会における信頼性を左右します。これから経済規模は相対的に小さくなる日本だからこそ、この点は益々重要になるのではないでしょうか。先鋭的、センシティブ、かつ伝統的な問題こそ、国民や国家という枠組みで語られてしまいがちです。個人の意志で「国境や国家は関係ない」と思っていても、日本人や日本というフィルターのもと、当該個人も見られてしまう構図もあります。
NewsPicksでは難民問題を取りあげました。ロヒンギャは第3回と第4回です。全て無料公開ですので、是非お読み下さい。
第1回:【日本】難民問題がもはや他人事ではない理由
https://newspicks.com/news/2646347
第2回:【人権】世界から非難、オーストラリアの無慈悲な難民対応
https://newspicks.com/news/2646352
第3回:【ロヒンギャ】「緩衝国」マレーシアへの期待と見えぬ将来
https://newspicks.com/news/2646353
第4回:【オピニオン】日本人が知らない、難民への日本の貢献度
https://newspicks.com/news/2646355
民族浄化が起こされる仕組みについては多数の研究がありますが、「我々」(この場合はビルマ人・仏教徒)から見た他者の存在を受け入れられない心性や文化と共に、民族浄化を煽ることで利益を得ようとする勢力の存在が必ずあります。スケープゴートをつくって大衆に暴力を振るわせることで不満をそらし、自分たちへの求心力を高める、略奪や土地収用を正当化するために民族浄化を行う、ミャンマーの場合、それは軍部です。中国の「一帯一路」に伴う経済進出、開発計画がそれに拍車をかけ、ロヒンギャへの民族浄化はミャンマー軍部による開発用地確保のための土地収用と不可分です。普遍的な倫理観をもつ先進国であれば、このような政治手法や開発は放置できないでしょう。
民族浄化には文化・宗教的な浄化(絶滅政策)がつきものです。歴史修正主義という偽学問によって行われるものであり、パレスティナ人という人々は存在しない、クルド人という民族は存在しない、カンボジアにはベトナム系住民は存在しない、いたとしても外来者なので抹殺されるべきだ、といった主張がついてきます。ミャンマー軍部や彼らに諂う人々がしているのも同じ主張です。「外来者なので殺してもよい」という主張からして現代の先進国では受入れられない非道な主張ですが、そういう主張をする人間が政権を握る国は現代でも存在しています。こういう主張をする人間は多かれ少なかれどこにでもいますが、まともに話して考えを変えさせることができるような相手ではありません。先進国をはじめとする諸外国の圧力、経済的措置をはじめとする制裁にしか民族浄化を抑止する効果はないでしょう。