なぜ日本企業は"撤退"を決められないのか
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撤退・継続の意思決定の基準は「Today Forward」、つまり今から見て将来に資本コストを上回るFCFを生むのか生まないのか。そしてそれが経営上のKPIにどれだけリンクしているのか、になるかだと思う。撤退によってP&Lに多額の評価損が発生することを嫌うのは日本も海外も同じだけど、撤退の意思決定によってどれだけ将来が改善するのか、を数字で評価する姿勢が強ければ株主に対しても説明がつきやすい。EVAにしてもPACCにしても、資本コストを上回るだけのリターンを生んでいるかいないかを明確にするので、非効率な資産であれば処理するインセンティブが働くのだと思う。国民性や文化というよりは、仕組みの問題かな~と思いました。
注目のコメント
日本の大企業でよく見られる現象は、事業計画を策定する人と執行責任者が異なることだと思います。
経営企画等のスタッフが主体となって事業計画を策定し、経営会議や取締役会に上程する。事業担当役員は予め承認しているケースは多いと思いますが、事業を実際に執行する責任者はその後に任命されることが多く、彼(女)は、他人が作った事業計画を執行する責任を負わされることとなる。それも、自分が希望したからではなく、通常の人事異動での任命となる。
これで成功確率が高くなるはずがないと思います。
自分が昔在籍したベンチャー企業では、執行責任者を先に決めて、その者が自ら事業計画を作り、自ら取締役会に上程する。そして、その取締役会にて計画達成のコミットメントを求められ、かつ失敗に備えて撤退基準も明示しろと求められました(自分自身がその立場にいました)。
そこまでやって初めて、必死で事業計画を達成しようと努力すると思います(自身も必死になりました)。
成功確率を上げるためには、事業計画策定プロセス自体に多くの改善要素が含まれていると思います。現在中国出張中で色んな方のお話を伺いましたが、そもそも現地トップの権限が少ない日本企業が非常に多く、現地にいない本部を確認しつつという部分から、ずるする行く傾向もあるみたいですね。
日本企業が撤退が遅いというのは本当でしょうか?
一般に撤退の決断というのは非常に難しく、過去の投資をサンクコストと割り切れるのは強力なオーナーシップをもった企業以外は決断し難い、故にサラリーマン化した大企業ではその決断は困難である、というのは一般論としては分ります。
誰もその決断が出来ないから、ルールを決めて杓子定規に運用することで、責任の分散を図ることが多く、マーケットを無視したそういうルール運用も問題が多いというのも確かでしょう。
しかし、一昔前までは短期の成功や収益の最大化ではなく、長期ビジョンに立って継続的な投資ができるのが日本企業の強みとされてきました。
今でも「成功者とは、成功するまで挑戦し続けた人物のことだ」とか「諦めたらそこでゲームセット」だとかいうくらいで、一概に撤退が遅いとか、だから日本企業は駄目なんだとも言えないと思うのです。
思うに日本企業の問題というのは撤退が遅いのではなく、往往にして「戦力の逐次投入」という最悪の戦術を取ってしまうことにある様な気がします。
一気に資本を投下してマーケットを抑えるのではなく、状況を見つつダラダラと人員や資本を投入するので、勝敗を決する機会を失い、劣勢になるとせめて失地を少なくしようと更に無駄な戦力の投入を行って泥沼にハマるというパターンです。
戦史で言えば日中戦争やガダルカナル島の攻防戦などがその最たるものでしょう。
戦力の逐次投入を避けるためには、経営者には勝負所を見極め、そこに戦力を集中するというある種の勝負勘と、大きなリスクを賭す胆力が要求されます。
概して歴史の長い日本企業は長期間にわたるゴーイングコンサーンを存在意義としていることが多く、不必要な勝負を避ける傾向にあります。
これはこれで立派な経営方針だとは思うのですが、マーケットが大きく変化しているときは、戦力を集中して一気に勝負に出なければいけない時もあるはずです。
撤退が遅いことが問題なのではなく、そもそもそこに至る戦力の逐次投入こそが問題なのです。
だからこそ今の日本企業に求められることは、早期撤退の決断などではなく、戦力を集中して一気呵成にマーケットを押さえる決断とスピードだと私は思うのです。