脳の科学と、今年のノーベル経済学賞の「意外な関係」
コメント
選択しているユーザー
注目のコメント
行動経済学のセイラー博士がノーベル賞受賞。有名なカーネマン博士に続く受賞で、いかにこの分野に関心が高まっているかがわかるエピソードかと。
近年の脳科学の目覚ましい進展は、脳科学と人間の認知や心理を結びつける学際的な研究を急スピードで推し進めています。
行動経済学もその流れにある取り組みの一つで、行動経済学に限らず今後人や社会について語る時に脳科学的な知見を無視することはナンセンスだという時代になっていくかと思います。
今後、経済、政治、経営、教育、精神医療、心理療法、犯罪対応など、様々な領域への応用が期待されます。私の専門の発達障害支援も脳や神経の視点が欠かせないという意味で、この流れの中にあります。
記事の中で私が注目しているのは、損失回避の文脈です。これは別の言い方をすると、人は快楽よりも痛みに敏感であり、痛みを回避するために自らの認知を少々歪めることを厭わないということです。
例えば、薬物依存はかつては薬物による快楽が依存を発生させているという考え方が主流でしたが、現在は薬物による精神的な苦痛からの回避こそが依存の主要因であるとの考えが主流になって来ています。
つまり、元々何らかの精神的苦痛を抱えている人が薬物に出会った時に依存する可能性が高まるということで、薬物依存の予防はその角度から行うことが有効だということです。これは薬物依存に限らず、教育や心理療法にもいろいろなヒントをもらえる知見ではないかと思います。＂ナッジの利用と悪用は紙一重だ。たとえば、米国でのトランプ大統領誕生や英国のEU離脱の背景を探る報道が最近にあった。そこには、ビッグデータ分析による行動パターンのプロファイリングとそれに基づいたナッジのような誘導手法に長けたマーケティング企業の暗躍があったという＂
