DeNA、GREEの死闘をひっくり返した『パズドラ』の衝撃
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この話、興味深いのですが、僕はちょっとこの記事の内容とは違った見方をしています。
この記事では、スマホネイティブゲーム(=スマホにアプリをインストールするタイプのゲーム)が台頭する中、二強だったDeNAとグリーが、ガンホーのお化けゲームタイトル「パズドラ」に売上高で抜かれた、という論調ですよね。
確かにその側面もありますが、DeNAとグリーの大きな収益源はそもそも、ソーシャルゲームの「プラットフォーム収益」でした。(※自社ゲームタイトルへの課金による収益も勿論あげてはいましたが。)
具体的には、「Mobage」「GREE」という巨大なソーシャルゲーム・プラットフォームで実現する「課金システム」にて、(プラットフォーム上に乗っている)他社のゲームタイトルへの課金からも大きな手数料を収益として得ていました。プラットフォーム専用のコイン販売によるプリペイド方式です。ここが全盛期の二社の台頭ポイントです。
二社が台頭している当時(2012年前後くらいまで)はブラウザ上でのゲームプレイが主流でした。しかしその後スマホやネット環境の技術が進化し、スマホにゲームをダウンロード&インストールするカタチが一般的になって行きます。タッチパネル形式でサクサクゲームがプレイできますし、グラフィックの動き・サウンドもグッとリアルになりますから、その流れは必然でした。
さて、こうなると課金のカタチが変わります。iPhone・Androidのスマホ機体そのものをOSレベルでおさえているApple・Googleによる「スマホ内蔵課金システム」が使われます。この場合課金の手数料は、AppleとGoogleに都度収入として入るカタチです。
というわけで、DeNAとグリーの大きなゲーム・プラットフォーム収益源は、ガンホー(パズドラ)ではなく、むしろスマホデバイスのOSをおさえているAppleとGoogleに奪われた、というのが真相です。
ここからの学びは何か。
技術やデバイスの進化によってサービスを享受するユーザの行動が大きく変わり、そのサービスを提供する企業サイドの収益源すら大きく変わる激動の時代・世の中である、ということ。
踏まえ、大企業で収益力が高い企業こそ、既存事業での収益力に甘えず、投資余力で複数の事業ポートフォリオを整える経営スタイルを持つべき、という話だと個人的に強く考えます。2010年、リーマンショックの傷跡が癒えきらぬ当時、若手コンサルタントがエージェントから提示される転職先企業といえば、DeNA、グリー、Amazon、楽天、エムスリー、SMSと相場が決まっていました。
ネット業界の片隅で零細スタートアップを営んでいた身としては、横目でDeNAさんの「クロスボーダー」「クロスデバイス」という戦略発表を見て、勢いのある会社はやはりすごいな〜と感じていたのがつい最近のように感じられるのですが、考えてみたら今の新卒1年目の方々は当時高校1年生だったわけですよね。時が流れるのは早いもんだ。
ガラケーゲーム市場の出現は、ダイヤルQ2やiモードに匹敵する日本のスタートアップ業界における一大イベントでした。今はまだ、総括するには記憶が新しすぎるようにも感じますが、デバイスシフトという外部環境の変化によって市場が根本からひっくり返った経緯は、記憶にしっかりとどめておくべきなんでしょう。よく社内で「みんなでミルクレープを大切にしましょう」という話をしてるんですよ。ケーキ食べなさいという意味ではもちろんなくて、薄い皮(=打ち手)をひたすら重ねていきトップラインを伸ばそうよ。という意味です。
多くの会社は順調だと、その皮がさも永遠に伸びるのではないかと誤解してしまうものですがそうもいきません。やはり長い成長をしている会社ほど、伸びてる時にまた新たな皮を重ねているものですね。Reluxが常に焦燥感を持ちながら、新しい施策を重ね続けているのはそのためです。止まってから気がつくのでは遅い。
この記事を読み、まさに思い出したお話しでした。ここに名前が出ているような企業は常にその葛藤に悩み、繰り返しているように思います。