「ビットコイン潰し」に動く中国政府。その狙いは?
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注目のコメント
この原稿を執筆しています。インターネットの様々な規制についてもまったく同様ですが、中国政府は新しいテクノロジーやニュービジネスについて、そのイメージに反して、けっこう寛容で、新しもの好きなところがあります。ですから最初は放任状態で導入してどんどん国民にやらせて、その成り行きをじっと見守ります。そのなかで、どこまで受け入れるべきか、それとも規制すべきか、市場の反応や社会への影響をアセスしながら、「管理弁法」「通知」といったルールを出してきて、コントロールにかかります。ビットコインや仮想通貨についても、流れを追ってみると、基本的にそうした部分で同じだったのかなという印象です。少なくとも現時点の中国にとって、資金流出の防止という課題もありますし、ぎゅっと手綱を絞る段階になったと判断したのではないでしょうか。
ビッドコインに対する中国の、ひいては日本も含めたすべての政府当局の対応は
第1に、投資家保護の観点、ひいてはバブル過熱防止
第2に、マネロン等の犯罪防止、ひいては国家安全保障
第3に、唯一無二の中央銀行の通貨発行権限への挑戦、ひいては自国通貨への影響と、通貨の国外流出防止
この3点が基本原則です。
3点目ばかりに論点が集中しがちですが、1点目のバブル過熱の調整の意味合いも、不動産や不良資産処理に苦しみバブル崩壊をずっと懸念され続ける中国ではセンシティブです。
また2点目も、北朝鮮問題その他当局としては侮れない要因でしょう。
いずれにせよ元の国外流出問題も含めて、投機商品としてのビッドコインおよびその取引所への規制についての当面のイシューはずばり、KYCだと思います。つまり口座開設時および資金出し入れの際の身元確認手続き。これの実効性あるルール化。
昨日JPモルガン代表が吠えたのも、これが少なくとも一因と考えられます。
KYCルールがしっかり確立されれば、少なくとも政府としては上記2と3についての対応実効性が高まります。中国としてもビットコインを未来永劫葬り去るのは本意では無いと思います。野嶋さんのコメントと併せて、中国政府のベンチャーおよび新規市場への規制については、下記のDI板谷さんの記事を合わせてご参照いただきたい。
https://newspicks.com/news/2426765
金融については規制業種や主権が絡むので、センシティビティはあがるとは思う。そのなかで強いプレイヤーを残すという観点より、金融システムの保護のためにより強い規制をかけに来ている印象を、個人的にはもっている。