それはホワイトボードの前ではない

Inc.が「最も破壊的なスタートアップ25社 2017」に選んだ企業の創業者たちは、画期的なアイデアというものがよくわかっている。研究室でダイヤモンドを育てる方法、わずか25分でシカゴからデトロイトまで人々を運ぶ方法など、実にさまざまなアイデアを実現しようとしているのだ。
そこで今回は、これらの革新的な創業者たちに、創造的なひらめきを得やすいのはどのような場面かを質問してみた。
信頼できる友人や同僚と話し合うという起業家もいたが、全員の回答から1つの共通点が見えてきた。それは、思いもよらない場面で最高のアイデアがひらめくことがしばしばあるということだ。

1. 動いているとき

「私はよく自転車に乗る。いつも仕事のことを考えているが、自転車に乗っていると頭がクリアになり、新しい方法で問題にアプローチできる」──マイク・キャグニー、オルタナティブ融資のスタートアップ、ソーシャル・ファイナンス(SoFi)の共同創業者兼CEO
「セイリングやウォーキング、スキー、パドルサーフィンなど。おそらくは、どこかの屋外で、体を動かしているときだ。頭上には晴れ渡った大空がある。そうした場面では、思考が明瞭になる」──リチャード・ジェンキンス、自律航行ボートのスタートアップ、セイル・ドローン(Saildrone)の創業者
「オフィスのざわめきや活気は好きだが、デスクで座っているときに最高のアイデアがひらめくことはあまりない。困難な問題の打開策や価値を生み出すようなアイデアが浮かびやすいのは土曜日。愛犬のサニーと海辺を散歩しているときだ。サニーにとっては、毎日が最高の1日。私もサニーのように生きようと努力している」──エミリー・レプルースト、バイオテクノロジーのスタートアップ、ツイスト・バイオサイエンス(Twist Bioscience)の共同創業者兼CEO

2. アウトドアを楽しんでいるとき

「私には、テクノロジーとは無関係な趣味がある。ニューメキシコ州が大好きな理由のひとつは、まるでヒッピーのような理由だが、山とのつながりを感じ始めたことだ。山には特別なエネルギーがある。自然のリズムが聞こえてくるのだ。あらかじめ計画を立てることはない。本も持って行かないし、仕事の問題について考えることもない。私にとっては、自然の中で静かに過ごす時間が重要なのだ」──マーク・ジョンソン、衛星画像のスタートアップ、デカルト・ラボ(Descartes Labs)の共同創業者兼CEO

3. 頭を休ませているとき

「ユダヤ教の安息日には、ハンモックでくつろぐことにしている。デジタル機器を手にすることはない。そうすると頭が冴え渡り、じっくり考えることができる」──ダニエル・シュライバー、保険関連スタートアップ、レモネード(Lemonade)の共同創業者兼CEO
「最高のアイデアがひらめくのは、真夜中や、シャワーを浴びているとき。つまり、脳から仕事のことが消え去っているときだ。劇場で映画やミュージカルを見ているときや、美術館にいるときも同様だ。私はアイデアをメモできるよう、ベッドの横にiPhoneを置いているが、数週間後に見直したら、思わず笑ってしまう。9割はくだらないアイデアだからだ」──スティーブ・グッドマン、人材雇用支援ソフトを開発するレストレス・バンディット(Restless Bandit)の共同創業者兼CEO
「最高のアイデアがひらめくのはたいてい、(長時間)シャワーを浴びているときか、眠りにつこうとしているときだ。どちらの場面でも、その前に準備を整えておく。つまり、あらかじめ資料を読んだり、問題について考えたりしておくのだ。いつもうまくいくわけではないし、すぐに成果が出るわけでもないが、休みながら問題と取り組み、考え続けていれば、数週間から数カ月後には、驚くようなアイデアを思いつくことがある」──トム・ナイト、合成生物学のスタートアップ、ギンコ・バイオワークス(Ginkgo Bioworks)の共同創業者

4. 音楽を楽しんでいるとき

「自宅はケンタッキー州レキシントンにあるのだが、たいていは音楽を聴きながら車を運転している。オールドスクール・ヒップホップからギャングスタ・ラップ、クラシック・カントリーまで、いろいろな音楽を聴く。具体的には、ハンク・ウィリアムズ・ジュニアやジョージ・ジョーンズ、トゥパック・シャクール、ビギー・スモールズなどだ」──ネイト・モリス、ごみ処理のスタートアップ、ルビコン・グローバル(Rubicon GlobalGlobal)の創業者兼CEO
「最高のアイデアがひらめくのは、音楽を聴いているときや演奏しているときだ」──ノア・クラフト、スマート・イヤフォンのスタートアップ、ドップラー・ラボ(Doppler Labs)の共同創業者兼CEO

5. 良い相談相手と話しているとき

「賢い人たちと話しているときだ(場所は問わない)。最高のアイデアを伝授してくれるわけでなないが、多くの場合、ひらめきを与えてくれる」──ジョージ・ヒロード、農業技術のスタートアップ、ブルー・リバー・テクノロジー(Blue River Technology)の共同創業者兼CEO
「多くの場合、(4人の)共同創業者たちと話しているときに、最高のアイデアが出てくる。互いのアイデアを改良し、率直に意見を言い合い、とことん考え抜くよう促し合うことで、思考が具体的になり、まったく新しいアイデアとして結実するのだと思う」──レシュマ・シェティ、ギンコ・バイオワークス(Ginkgo Bioworks)の共同創業者
「最高のアイデアがひらめくのは、刑務所を訪れているときだ。(囚人たちの)ニーズや問題を見聞きしていると、それらへの対処法が見えてくる。起業訓練で彼らの話を聞いているとき、彼らが革新的なアイデアを与えてくれることもある」──キャサリン・ホーク、囚人たちに起業家のスキルを教えるNPOデファイ・ベンチャーズ(Defy Ventures)の創業者兼CEO
原文はこちら(英語)。
(執筆:Inc. Staff、翻訳:米井香織/ガリレオ、写真:Danilo__/iStock)
©2017 Mansueto Ventures LLC; Distributed by Tribune Content Agency, LLC
This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with IBM.