市場規模は14兆円、ドローンと人間の“共創”がもたらす未来

2017/7/26
NewsPicksは、J-WAVE「STEP ONE」(毎週月~木 9:00~13:00)と連携した企画「PICK ONE」(毎週月~木 11:10~11:20)をスタートしました。
26日は、Drone Fundの千葉功太郎さんが出演。「未知領域のデータが社会を変えるー人工知能とドローンがもたらす未来」(AMP)を題材に、ドローンの可能性について解説しました。

巨大なドローン市場

サッシャ 今日は、「未知領域のデータが社会を変えるー人工知能とドローンがもたらす未来」というトピックにフォーカスです。
寺岡 解説してくださるのはNewsPicksの公式コメンテーター「プロピッカー」の千葉功太郎さんです。
千葉さんは、現在Drone Fundのゼネラルパートナーを務めるなど、ドローンを中心に多方面で活躍中です。よろしくお願いします。
千葉 よろしくお願いします。
サッシャ 千葉さんは、ドローンに関して起業から投資、操縦までこなされている「最強のドローン研究家」とのことですが、そもそものきっかけはどこにあったのでしょうか?
千葉 2年前に、友達から小さなおもちゃのドローンを頂きまして、それで練習し始めたらハマったんです。その後、大きなドローンを買い、撮影をすると美しい映像が撮れたので、ひたすら撮影し続けました。
サッシャ なるほど。今回の記事については、なぜピックされたんでしょうか?
千葉 はじめに、アメリカのPwCが発表したドローンの市場調査によると、2020年には世界で14兆円くらいの大きな市場が生まれるとされています。
みなさんのイメージからすると「そんなにドローンがあったっけ?」「ラジコンじゃないの?」と、驚きだと思うんですけれど。
実は、産業分野で大きく拡大しています。主に、インフラ点検ですね。トンネルやビルの点検、また工事現場や測量などです。
さらに、世界中で農業にも使われています。空から農作物を見て、生育具合に応じて自動的に農薬を散布したり、肥料を追肥したりしています。
みなさんの目に見えていないだけで、ドローン産業は生活の基盤になりつつあります。
サッシャ 一昔前だと、アメリカでは大きなセスナで農薬を散布しているイメージがありましたけれど、ピンポイントで農薬をまくことができようになってきていると。
千葉 そうです。空から特殊なカメラで見ると、生育の良し悪しが見えるんですね。そこでは虫がついているなど、色んなことがわかるので、それぞれの状況に対して全自動で適切に対応できます。

人間とドローンの「共創」

サッシャ ほかに身近な例でいうと、どんなものがありますか?
千葉 山岳救助や映画撮影の現場などがあります。
山岳救助の例では、山で遭難されてずっと見つかっていなかった方のご遺体を、山岳救助隊とドローンのチームがコラボすることで、20時間で発見することができたというニュースがありました。
これは、ドローンによって、広大な山の中から、「確実にいない場所」を洗い出して、人間が捜索すべき範囲を絞った結果によるものです。
サッシャ 山岳救助においては、高度が高くなるとヘリコプターが飛べなくなったり、天候が変わったりするため、場合によっては救助する側の人命にかかわるので、難しいんですよね。
千葉 そうですね。これにより山岳救助隊の方が危険な谷の間などに入る必要がなくなるんです。
サッシャ ドローンで先に見ておいて「何もないから戻ろう」と判断できるわけですね。
千葉 その意味で、ドローン万能という話ではなくて、人間とドローンが共創していく社会ができつつあります。
サッシャ 映画撮影に関しても、ドローンが革命を起こしているんですか?
千葉 はい。現場で使われているのは当たり前で、ドローンがすでに監督の役割も果たしています。
寺岡 監督もですか。どういうことですか?
千葉 実は、ドローンに照明やマイクなど様々な機材を積み、さらにコンピュータでプログラムすることで、すべてのシーンにおいて何度でも「再現」ができるようになっています。
サッシャ 要は、撮影において同じ動きが何度でもできてしまうと。
千葉 さらに、AIを使えば顔認識などもできるので、思った以上に良い映像が撮れたようで、監督がそれを採用した例があるんです。そんなことがあるんだと驚きました。

ドローンが人工衛星の代わりに

サッシャ 今後の未来における予見としては、どんなものがあるんでしょう?
千葉 Drone Fundで投資している会社に「SKY PROVE」という構想があります。
これは24時間365日、空を飛び続けられるドローンをつくろうという大プロジェクトです。
現在、ドローンは電池の問題などで30分くらいしか飛べないんです。
来年には、手始めに東京からサンフランシスコまで飛ぶ太平洋横断プロジェクトを実施する予定です。
サッシャ どうやって電池切れを防ぐんですか?
千葉 代替電池の開発や機体の改良など、様々な技術的課題がありますが、ここは日本のものづくりの力を活かして実現したいと思っています。
これができるようになると、実はドローンが人工衛星の代わりになることができるんです。
サッシャ その場合は、太陽光パネルなどで充電するんですか?
千葉 おっしゃる通りです。小型人工衛星は、通信のインフラと地上を撮影して調査をするなどの役割を担っています。
これに関して、高度の低い方が解像度や電波状況が良いので、「ドローンの方が安くて快適な空のインフラを構築できるんじゃないか」という未来構想です。
サッシャ じゃあ、飛行機に乗っていると、ドローンがその辺に浮いているなんてことも。
千葉 未来社会はそうかもしれないですね。
サッシャ これは、例えば防犯カメラの代わりなどにも応用できますよね。
千葉 それは、一番ニーズがあると思っています。特に、都市部ですね。
女性が駅から家に戻るときに、「見守りドローン」が駅からついてきてくれるようなサービスなども、流行るんじゃないかと思っています。
サッシャ それでは視点を変えて、趣味でドローンをやりたい人は、いくらぐらいの何を買えばいいですか?
千葉 今、日本では200グラム以下のドローンは法律の範囲外なんです。なので、どこでも飛ばしていいので、こうしたもので練習すればよいと思います
サッシャ そうなんですね。200グラムって小さくないですか?
千葉 一番小さいものでは、18グラムの練習用機材もありますよ。
寺岡 そんなに軽いんですか。
千葉 このスタジオでも練習できますね。実は、小さいドローンも大きいドローンも運転の仕方は同じです。軽自動車とトラックの関係をイメージしてもらえればと思います。
サッシャ 面白い。ドローンが欲しくなりました。千葉さん、どうもありがとうございました。
千葉 ありがとうございました。
※本記事は、放送の内容を再構成しています。
今回のニュースをはじめとした千葉さんのコメントは、ぜひ以下からチェックしてみてください。
27日は小学館の常盤敬介さんが出演予定です。こちらもお楽しみください。

【番組概要】放送局: J-WAVE 81.3FM
番組タイトル: PICK ONE
ナビゲーター: サッシャ、寺岡歩美(sugar me)
放送日時: 毎週月~木曜日11:00~11:20(ワイドプログラム『STEP ONE』内)
番組WEBサイトはこちらをご覧ください