ふくおかFG・十八銀統合、無期延期 公取委と溝
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金融の多様化と広域化が進み、護送船団行政の名残で過剰な数の地域金融機関が残る中、極めて狭い地域の中のシェアを問題にして合理化努力を阻害する決定に違和感を覚えます。合理化がサービスの向上を生む可能性もありますし、地域の金利が上昇したら別の形で参入する金融機関もある筈で、そういう競争が起きない構図があるとしたらそちらの方が問題です。
グローバルな競争が激しさを増す時代、旧態依然の判断基準は見直すべきであるような気がします。え、それじゃ公取の存在意義が保てない?いや、そんなことでなされた判断ではないと信じます。重要な問題である。
日本の仕組みが成長を前提にしていると
こう言う事になる。
平時である今こそ必要な統合は進める
べきである。
金融の危機は突然起こる事を良く考え
普段から改革をしておくべきなのである。ふくおかフィナンシャルグループと十八銀行は、経営統合を無期延期しました。公取が認めない姿勢を堅持しているためです。公取の懸念も理解は出来ますが、同意はしにくいですね。
現状のような低成長・低金利が続くとすれば、地銀は苦しいです。「独占利潤」より「過当競争」の方が、遥かに問題です。企業は減価償却の範囲内でしか設備投資をせず、利益のうちで配当されなかった分は負債の返済に回されてしまうからです。それにより、縮小した資金需要を巡って貸出金利引き下げ競争が無限に続いていくわけです。詳しくは拙稿「ゼロ成長とゼロ金利が特に地銀に厳しい理由を考える(http://wedge.ismedia.jp/articles/-/9945)」をご参照ください。それを避けるためには、疑う余地なく統合を認めるべきでしょう。
問題は、将来的に資金需給が逼迫した時に統合銀行が独占利潤を貪る可能性をどう考えるか、でしょうが、過度な懸念は不要でしょう。「日本経済が再び高成長となり、資金需要が旺盛になる」ならば、長崎地方の企業も潤うはずで、銀行が独占利潤を貪ったとしても、今よりマシな状況でしょう。そうした可能性が大きいか否かは何とも言えませんが。
問題は、銀行の自己資本が何らかの事情で大きく毀損され、自己資本比率規制の制約から貸し出しを抑制せざるを得なくなった場合でしょうが、これも迅速な公的資金注入の枠組みを予め決めておけば良い話でしょう。これも、そもそも可能性が高そうには思われませんが。
また、将来的に資金需給が引き締まる頃までにはフィンテックなどが成長して、地域独占の地銀が独占利潤を貪る事が難しくなっている可能性の方が高いような気もしますし。
そう考えると、「統合した場合のリスクとその可能性」よりも「統合しなかった場合のリスクとその可能性」の方が高いということになりそうです。進むもリスク、止まるもリスクなら、リスクの小さい方を選択するのが当然だと思いますが。
P.S.
公取が「統合を認める代わりに、銀行が独占利潤を貪っていない事を公取としては常時把握しておきたい。そのためには、公取OBを監査役に迎えること」などという裏条件を提示する、なんて大きな声では言えませんが(笑)。