「障がい者雇用」は「強い経営」と両立させてこそ意味がある
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日本理化学工業を最初に取材で訪れた日、チョークとキットパスの製造工程を見せていただきました。キットパスは、日本理化学工業のオリジナル商品で、会社の未来を託す事業だと、大山隆久社長から説明を受けました。少子化やホワイトボードの普及でチョークの需要が減少する中、クレヨンでも絵の具でもない「環境固形マーカー」と銘打ったキットパスの売り上げを伸ばし、会社の未来を切り開きたい、と言うのです。
キットパスを作る工場で大山社長に紹介されたのが、本田真士さんです。大山社長は、「彼が日本理化学工業のエースです。彼がいなければ、キットパスを出荷することが出来ませんし、うちの会社の未来はありません」と言って、本田さんの肩に手を回しました。本田さんは無言でしたが、その顔は誇らしく見えました。
それは、私が、日本理化学工業の真の素晴らしさに触れた瞬間でした。日本理化学工業は、知的障がい者を昭和35年から雇用し続けただけでなく、彼らを会社の未来を託すほどの技術を持つ「匠」にしていたのです。
キットパスは、窓やタイル、プラスチック等、ツルツルした素材に描くことが出来て、濡れた布で拭けば綺麗に消すことが出来ます。大山社長は「子供はもちろん、大人もご高齢者も、このキットパスで楽書きをして欲しいのです。絵を描けば、誰もが楽しくなり、ワクワクしますから」と言って、社員たちの絵が目に鮮やかな日本理化学工業の2階の窓を見せてくれました。
今、私の胸には、川崎市高津区にあるチョーク工場の真実の物語を伝えるのだ、という小さな使命、喜びがあります。
もし興味を持っていただけたなら、ぜひ「虹色のチョーク」を読んでみてください。
https://goo.gl/Pm6VBD日本理化学工業の大山社長と小松成美さんの対談第3回。最後までお読みいただき、みなさんありがとうございました。
大山社長と小松さんの、チョークや絵を書くことについての表現がまた素敵だなと思いました。
また、いい経営者というのは佐山さんや高岡さんのように強さと優しさを併せ持った方だと個人的に思っているのですが、この大山社長からも同じようなことを感じました。
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大山 「書いて消せるもの」というのが僕にとってのチョークの定義です。だから、教室の黒板に使うような白墨のチョークはもちろんそうだし、自社で開発した新しい筆記具「キットパス」もチョークだと思っています。
小松 何も考えず、下手でもいいから描いてほしい。下手だったら、消せるし、そのあとまた描くことができる。それは人生のほんの数分間かもしれませんが、絵を描くだけで穏やかな気持ちになれるのですから。チョークの定義は、描いて消せる事。
簡単に消せるんだからまずは描いてみる。
それは人生にも通ずるところがあるなと感じました。
大山社長仰る通り、障害者、健常者という区別好きではありませんが、障害者だけでなく、働く人一人ひとりが仕事に対して「働く幸せとは何か」を感じられるようになれば良いのにと切に願います。
働くという事、一生懸命働く事だけでとても尊いことです。
あの人は優秀とか、仕事出来る、出来ないなんていう言葉は不毛であり、会社全体の士気や生産性を下げる元凶でしかない。
働く事の意味づけ難しくとも、一生懸命働くことは本当に尊いことだという思いを日本社会全体で醸成したい。