人件費は上昇したのに、中国製品はなぜ今も安いのか 中国流「ローコストオペレーション」の強みと弱み
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この記事は、中国製品がまだ競争力を保っているという前提で書かれていますが、中国からの輸入はピークアウトしています。
価格変動の影響を取り除くために数量ベースでみると、2000年度から2006年度にかけて、全体の輸入は21%増加したのに対し、中国からの輸入は86%増。まさに、中国製品が日本市場を席捲した時代でした。
ところが、2013年度から2016年度にかけて、全体の輸入が4%減少したのに対し、中国からの輸入は11%減少。中国からの輸入シェアは低下に転じています。
この原因ははっきり分かりません。しかし、人件費増による価格競争力の低下も一因ではないでしょうか。ファーウェイの千葉ラボは、人件費が主眼とは言い切れないと思います(確証がないので推論)。ファーウェイのこれまでのR&D拠点はコラボ拠点をみると、その国で獲得できるエンジニアやその特徴を生かしたところに拠点を作っています。コラボであれば、コラボしてシナジー効果が得られる企業がたまたまその国の企業だったということ。ファーウェイを格安スマホとか、人件費を安く抑えて事業展開をする起業だと考えるとかなり見誤る。
この記事はファーウェイ論ではないのは理解しており、また、言いたい「ローコストオペレーション」に持っていくために枕詞的にファーウェイに触れたのでしょうけども・・・
本論が正しいのかどうか、的確に判断する材料がありませんが、個人的には、ある婦人向けアパレルメーカーの方が、「なんだかんだ言っても、中国は材料が国内で完結できる点が強い」と話していたのが印象的です。
また、東京大学の伊藤亜聖先生が書かれている「現代中国の産業集積―「世界の工場」とボトムアップ型経済発展」がとても参考になると思います。中国経済というか、新興国経済の産業発展を考える上で必読書。人件費が急上昇した中国製品がなぜ今でも競争力があるのか、について論じておられますが、何かどうも腑に落ちないです。
「無駄な費用や経費を極力抑えて低価格化を実現し、その一方で、国際市場で必要とされる最低限の品質を確保している」・・・
もしこういうことができるのなら、もっと品質の高い商品だって作ろうと思えばできる、ということになりますが、中国がそのレベルには達しているとは思えません。
ローコストオペレーションに長けている第1の理由「中国企業は決断が非常に早く、投資を果断に実行する」・・・
決断が早いとなぜローコストオペレーションに長けるのか、よくわかりません。では日本企業は決断が遅いからコストが膨らむ?ということでしょうか。
ローコストオペレーションに長けている第2の理由「資金の調達環境が日本よりも恵まれていること」・・・
資金調達環境が日本よりも優れているのはその通りですが、それがなぜローコストオペレーションにつながるのでしょうか。
「これでもっとコストが下がるからなどと言って、勝手に現場で工程や使用材料を変えてしまう。またサプライヤーも、何も言わずに原材料を安価な粗悪品に変えてくるので」
・・・
中国製品の品質に問題があるのは、製造工程や使用材料にばらつきがあることです。
しかしこれはサプライヤーが勝手に粗悪品に変えてくることが原因なのではなくて、それを見抜けない生産管理能力が欠けているからなのではないでしょうか。
著者にいちゃもんをつけるつもりはありません。
中国製品がいまだ競争力がある、というのもその通りだと思います。
でもその原因は「ローコストオペレーション」ではなく、中国企業の「製品仕上げ力」とでもいうべき柔軟性だと思います。
つまり、たとえ粗悪な材料でもなんとか実用に耐えるものに仕上げられる柔軟性(例えば、ねじ穴が合わない材料でも強引に溶接して何とか製品を作ってしまうような)が中国企業の競争力の源泉だと思います。