息子から父へ 初めて父に「継がない」と伝えた日
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実は私自身、実家の家業を引き継がなかった人間の一人でした。
私の実家は鎌倉ではそこそこの建設会社で、私はその三代目として生まれ育ちました。
家業を継がないと宣言したのは、確か大学に入る前くらいだったと思います。
その時父は、一言「そうか」といったこっきり、何も言いませんでした。
かつて父は自分も嫌々家業を継がされたんだ、といっていましたから、息子には自由な道を歩ませたかったのでしょう。
それから間もなく祖父と父の会社の経営は悪化し、3つあった会社はすべて廃業しました。
私の人生だけから見れば、よく言えば自分の人生を自分で決定した、悪く言えば、傾いた家業から上手いこと逃げおおせたわけですが、一つだけ心残りなのが、祖父が亡くなった時、通夜の席でかつての社員の一人が「あの大山さんでさえ、会社を潰したんだからなあ」としみじみといっていたことです。
その時ばかりは、自分は祖父を会社を潰した人間として死なせてしまったのだと、自分で選んだ道とはいえ、凄まじい後悔の念に囚われたのをよく覚えています。
こうした映像はしょせんお話ですから、美しまとめてはいますが、私の経験上、実際の継ぐ継がないというのはもっと難しい問題が沢山あり、それだけでなく親子や親族という感情が絡み、簡単には割り切れない大変な葛藤があるものです。
本当は肉親の情で、子供に継がせたいという経営者は多いものです。
だけど一方では子供には子供の人生があることも、今の親は実はちゃんと理解もしています。
だから昔のように一方的には押し付けられない、かといって子供と向かって話しきちんと合うこともできない。そんな経営者が大勢いるのです。
だから、ともかく早く、将来のことを親子で話したほうがいい。
少なくとも、全社廃業という選択肢しか選べなかった私の実家のようになる前に、と私自身は思うのです。
そんな一つのきっかけにと、こんな動画を作ってみました。日本でも、家業のM&Aがもっと盛んになるといいと思っています。どんぶり勘定で経理がぐちゃぐちゃなら、資産だけ切り離して売ればいいのに、とも思ってしまいます。