トランプ大統領 パリ協定脱退の方針を発表
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アメリカのトランプ大統領は、大胆な政策を次から次へと矢継ぎ早に発表してきた。参加国が苦労した末に合意したTPPへの不参加決定、多様な意見を調整してようやく発効した環境対策の決め手だったパリ協定からの脱退方針発表だ。米中間では貿易赤字と北朝鮮核問題を取引するという奇策・・・。「まさか今になって、これを覆すことはないだろう」と、安定指向、前例踏襲傾向、協調第一主義の日本人は思いがちだが、トランプ氏のアメリカは違う。アメリカが輝いて見えていた時代は終わったということではないか。アメリカが普通の国家になったということ。6月はじめの米中関係、米ロ関係、米韓関係は、3か月前のそれとは違う。良好な日米関係なしの防衛・外交政策はありえないが、同時に日本人はしっかりと日本の国益を考えつつ、トランプ政権の次の一手を的確に予測しながら、各論のレベルできめ細かな政策をたててゆかねばならない。日中、日露、日韓、日朝関係は、日本人が自分の頭で考えなければいけない。10年後に2017年を回想する人々は、「トランプ・ショック」という言葉をキーワードにするだろう。
トランプ大統領が重視するのは、短期的な雇用創出。省エネ産業より、化石燃料産業の方が、当座の雇用創出力が大きいという判断なのでしょう。でも、長期的にみたときの雇用創出力はどうでしょうか。
10年間の交渉を経てようやく発行した京都議定書をブッシュ大統領が離脱表明したのが2001年。それからの15年に及ぶ気候変動コミュニティの目標は、米国と、京都議定書調印以降の温室効果ガスの増加量の殆どを占めた中国を次の国際合意の枠組みに必ず組み入れるということでした。
それを最初に目指した2011年の「コペンハーゲン合意」は、すったもんだの末に「採択」はなされず、「留意(take note)」にとどめるという苦肉の策が取られましたが、事実上の失敗でした。
その後は、「ポスト京都議定書」を巡り議論は非常に複雑化しますが、2015年のパリ協定において削減義務を課さないと言う妥協の形で米中を引き入れてようやく合意しましたが、米国が脱退となるとこれまでなんの為に大騒ぎしてきたのか、虚しさが募ります。
一方、米国ではシェールガス革命と良質な石炭の減少により石炭からガスへ自然な切り替わりが起きていて、米国は07年をピークに既に成り行きで削減しつつあります。原油価格の高止まりから自動車燃費の厳しい業界自主規制もできました。
私は正直、温室効果ガス削減に対する削減目標の国際的枠組みの実効性に懐疑的です。過去削減を達成した事例は、削減義務によるものではなく、殆どが別の要因で起こった経済的要因によるものばかりです。日本が京都議定書の目標達成できたのは、たまたまリーマンショックで不況になった「おかげ」でした。
温暖化の議論は、テロや保護貿易に並ぶ数少ない国際的な話題であり、既に形骸化しつつあります。私に言わせると、気候変動問題は極めて感情的なもので、責任論です。
パリ協定第28条の規定で、批准して3年後に脱退通告ができて、正式脱退までさらに1年が必要なので、米国が正式に脱退できるのは最短で大統領選挙のある2020年11月になります。
また、途上国に対して先進国全体で年間1000億ドル超の支援をする事になっており、そのうち300億は米国の負担とされていましたが、そのしわ寄せは日本などに来ます。安倍政権は既に1.3兆円の支援を約束していますが、さらに3000億円ほど上乗せになると懸念されています。
日本は今年度、環境省で2050年に向けた削減策「長期ビジョン」の策定作業中で、産業界はそれが決まると経営計画の多くの前提が破綻してしまうと、強く警戒しています。
いろいろ虚しいです。