【SPEEDA総研】変化する情報開示~注目高まるESG
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今回は情報開示の中でも非財務情報であるESGについてまとめました。
本分野は現在進行形で世界規模で着々と進んでいる印象を受けます。
ESGは企業ごとに重要である項目が異なるため、一律で定量的に評価することが難しいといえます。
そこを米国のSASBは規制によるアプローチを実施しようとしています。
https://www.sasb.org/participating-sasbs-consultation-period/
この流れを受け、トムソン・ロイターは、人工知能を活用したESG分析ツール.「Insight360 SASB Edition」をこの5月にリリースしています。本ツールはITベンチャー企業であるTruValue Labsが開発しています。
https://www.thomsonreuters.com/en/press-releases/2017/may/thomson-reuters-boosts-esg-data-solutions-in-eikon-with-sasb-materiality-framework-application.html
このように、インベストメントチェーンに新たなプレーヤーも参加してきており、産業構造の変化も予感させます。今回はSPEEDAコンサルチームの記事。アナリストチームとはひと味違った方向性が良いと思っています。こうした、ビジネスにおける基礎事項の地道な発信は、経済情報インフラを目指す当社として、コツコツとやっていく意議があると、個人的には思っています。基本事項をしらないでは、次がありませんし、情報を提供することを生業とする私たちがよく理解していないのでは話になりません。
さて、ESGについては、前職のSMBC日興証券時代に訪問していた機関投資家のなかに、担当としてはっきり名刺に書いてある方がいて、そういう時代なんだなと感じたことが記憶にあります。
その視点から、ASEANの専門家としてどういう情報を提供して行くべきか、そして、先方は何を欲しているのか、なかなか面白いやりとりでした。アジアにおけるESGがどうなるのか、日本企業が関連しているアジアのビジネスにおけるESG、という視点は、自分にとって当時は新しく、ある機関投資家と興味深いディスカッションができた事を良く憶えています。欧州がESGを組み込んだ投資手法を行うと聞いたときは、正直投資の観点では何のメリットがあるのかと驚きました。今やそれが世界の潮流になったんですね(トランプ政権のパリ協定脱退で水を差されてはいますが)。
ESGはいずれも手間とコストがかかるため、短期的には業績にマイナスに影響するでしょう。
例えばファストファッションでは、東南アジア等に多くのサプライヤー工場を持ちますが、多大な労力とコストをかけて労働環境などを監査しています。サプライヤーの選定基準が価格だけならもっと原価率は下がる。
しかし、長期的には事故やストライキ、法的措置などで事業が止まったり被害が出るリスクが低下する可能性があると思います。環境面やガバナンスでも同様。
効果が出るのに8年以上かかるようだとアメリカでは採用されないかもしれませんが。