米軍、初のICBM迎撃実験へ
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米国が実験する地上配備型ミッドコース防衛(GMD)システムは、弾道ミサイルをミッドコース・フェーズで迎撃する地上に配備されるシステムで、日本政府が導入を検討しているイージス・アショアと同様です。
弾道ミサイルのフェーズは、大きく三つに分けられ、発射から上昇の段階をブースト・フェーズ、上昇から落下に至るまでの中間の段階をミッドコース・フェーズ、落下して着弾するまでの間をターミナル・フェーズと呼ばれます。
この中で、最もミサイルの破壊が容易なのはブースト・フェーズです。速度ゼロから加速中で速度が遅く、運搬用のロケットが切り離されていないので目標が大きいのです。
ただ、発射の兆候を事前に把握し、発射されたミサイルの弾道を極めて短い時間で分析して、敵領土内にも攻撃しなければならないことになり、非常に困難です。敵領土内への攻撃手段も課題になります。
ターミナル・フェーズでの迎撃は、落下速度がマッハ20にもなる非常に小さい弾道というターゲットに迎撃ミサイルを物理的に当てなければならず、高い技術が要求されます。
そのため、ミッドコース・フェーズでの迎撃も考えられるのですが、弾道ミサイルのミッドコースは高度が高く、特に、ロフテッド軌道で発射されたミサイルのミッドコースに到達できる迎撃ミサイルの開発はまだ完了していません。
これまで、米国のGBIによる迎撃実験は17回実施され9回成功したとされていますが、最初の内は成功率が低かったでしょうから、これが命中率という訳ではありません。
今では、はるかに高い命中率をもっているはずです。それでも、100%命中する武器というのは存在しません。
ミサイル攻撃を阻止しようとすれば、ミサイル防衛を何重にも多数のシステムで構築しなければならず、非常に高いコストがかかります。
また、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを完成させてしまえば、米国は、自国が核兵器による攻撃を受ける可能性を考慮しながら、外交・安全保障の問題に対処することになりますから、日米同盟にも影響が出る可能性があります。
日本は、単独でミサイル防衛を強化・完成しなければならなくなるということです。防衛予算も増加させざるを得なくなり、他の予算を圧迫し、私たちの生活にも影響が出るかも知れません。
北朝鮮の核兵器と弾道ミサイルの開発を止めることは、日本にとって、国益にもかかわる重要な問題なのです。