【藤代裕之】メディアは「時間概念」を取り戻せるのか
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ウェブとソーシャルがもたらしたものを「時間概念」という切り口から、ジャーナリストの藤代裕之さんに考察してもらいました。
コミュニティ論とも関連しますが、今のウェブが弱いのは、「一体感の醸成」だと思います(生産者側も消費者側も)。
たとえば、ウェブメディアの仕事は、自分のペースで自分一人で完結しやすいのですが、逆に言うと、チームでひとつのものをつくるという「TV番組撮影」のような体験がしにくい。働く人がバラバラになりがちなのです。
消費者側からも、ウェブはいつでも好きなコンテンツを楽しめるため、同じ時間に体験を共有することが難しい(ナイター中継や月9ドラマなどのように)。
解決策はおそらくシンプルで、ウェブを進化させたり(ライブの充実やコミュニティの細分化)、リアルな経験を組み合わせたりしながら、「みんなバラバラ」の日常に、「みんな一緒」の時間を組み込んでいくことではないでしょうか。
そして、みなが見たい、見ないといけない、と思えるような、新時代のマスメディアが生まれることではないでしょうか。タイトルだけをみて、メディアが読者を獲得する手段としての「時間共有」を論点としているのかと思いながら、本文を読んでみたら…、大間違いだった。
いきなり「新聞の日付が、国家をつくった」という国家論に。まじ深いテーマだった。
時間という概念をつくることにより、共同幻想がうまれて、国家ができるという思考は、シンプルかつ強力だ。共和制ローマも、ユリウス暦の制定により、支配権を拡大したとも説明できる。
佐々木編集長がいうように、たしかに解決策はシンプルかもしれない。ただ、そのシンプルさは、洗練されたシンプルさであるべきで、それは一見、新聞紙にプリントされた日付のような、意図を感じさせない記号を生み出す必要があると思う。ここを掘り下げると、NEWSPICKSが、新しい時間を生み出すとメディアへとさらに進化するということか。みんな誰かと繋がっていたくて、同じ時間を共有したくて、テレビ見ながらTwitterでその感情を共有したりと、ネット×テレビで人々は時間を共有して楽しんでいる。
SMAPファンなので、スマヲタさんのTwitterとかを見る機会が沢山あるのですが、スマヲタさんたちはSMAPメンバーが出演する番組を見ながらTwitterのタイムラインでハッシュタグを付けて、同じ時間に同じ感情を共有することで繋がりと絆を深くしているように感じます。
時間と空間は切っても切り離せない。ウェブメディアが時間の秩序をもたらすことができれば、ネットの使い方や人々の感じ方や考え方に良い影響をもたらすことができるのかなと思います。